スパンション、車載用アナログIC市場に参入――第1弾製品として電源管理ICを発売:ビジネスニュース 企業動向
Spansion(スパンション)は2015年2月、車載用パワーマネジメントIC「S6BP401A」のサンプル出荷を開始したと発表した。同社アナログIC事業として初の車載向け製品で、6系統の電源を管理できるマルチチャンネル品となっている。
メモリ、MCUに続き電源ICでも車に照準
Spansion(以下、スパンション)は2015年2月20日、車載用パワーマネジメントIC「S6BP401A」のサンプル出荷を開始したと発表した。同社アナログIC事業として、初の車載向け製品だという。
スパンションは、アナログIC事業と並ぶ主力事業であるフラッシュメモリ事業、マイコン事業では、車載向け製品を展開し、主力用途市場の1つになっている。ただ電源ICを中心に展開するアナログIC事業では、これまで車載用途に特化した製品がなく、今回の新製品が第1弾製品となる。
出力設定抵抗と位相補償回路を内蔵
新製品のS6BP401Aは、ADAS(先進運転支援システム)の2次電源用のマルチチャンネルDC-DC型パワーマネジメントICで、「ADASに必要とされる全ての電源を1チップで供給できる」(同社)とする。チャンネル構成は、4チャンネルのDC-DCコンバータと2チャンネルのLDOレギュレータの計6チャンネル。出力設定抵抗と位相補償回路は各チャンネル分内蔵されているため「ユーザーは基板サイズと部品点数を削減でき、小型で、コスト効率の高いADASを実現できる」とする。なお、出力設定はユーザー要求に応じて設定された状態で工場出荷される。
また新製品は、ウィンドウウオッチドッグタイマーを内蔵し、各チャンネル独立のコントロールピン、チャンネルごとの高精度な出力監視向け専用ピンを搭載していることで、機能安全規格「ISO 26262」における安全性要求レベル「ASIL-B」を満たしたシステムを構築できるという。
4チャンネルのDC-DCコンバータの入力電圧範囲は4.5〜5.5V。スイッチング周波数は2MHz〜2.2MHzで、外部クロックを用いることで1.8MHz〜2.4MHzに対応する。内蔵FETの最大電流供給能力は1チャンネル当たり3A。LDOの入力電圧範囲は2.97〜5.5Vとなっている。
パッケージは6mm角サイズの40ピンQFNパッケージを採用。サンプル価格は13米ドルとなっている。
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