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耐圧1200VのSiCモジュール、ダイオード一体型MOSFETで小型化を実現電源設計

パナソニックと三社電機製作所は、「業界最小」(パナソニック)をうたう耐圧1200VのSiCパワーモジュールを共同開発した。SiCダイオード一体型MOSFETと、ワイヤボンディング不要のモジュール化技術で、小型化/低背化を図っている。

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 パナソニックと三社電機製作所は2015年3月5日、複数のSiC(炭化ケイ素)トランジスタを組み込んだSiCパワーモジュールを共同開発したと発表した。具体的には、パナソニックが開発したSiCダイオード一体型MOSFETを、三社電機の技術を用いてモジュール化したもの。

 今回開発したSiCパワーモジュールのサイズは94mm×29.8mm×14mm。三社電機の従来品「GCA200EA60」に比べて、体積が約1/3になり、実装面積は約30%低減した。耐圧は1200Vで定格電流(連続)は150A。オン抵抗は6mΩである。大規模な太陽光発電向けのパワーコンディショナや、鉄道の動力用インバータなどの用途に向ける。パナソニックは、耐圧1200Vのパワーモジュールとして「業界最小」をうたっている。

ダイオード一体型MOSFETで小型化

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SiCダイオード一体型MOSFETを使ったモジュール(クリックで拡大)

 パナソニックはダイオード機能を内蔵したSiC MOSFET(SiCダイオード一体型MOSFET)の開発を以前から進めてきた。同社はこれを「DioMOS(ディオモス)」と呼んでいる。ダイオードをMOSFETを一体化させることで、従来はトランジスタと並列接続していた外付けダイオードが不要になる。

 DioMOSでは、SiCトランジスタに、低抵抗で薄い導電性チャネル層(SiCエピタキシャル層)を追加することで、トランジスタ構造において、低電圧で逆方向電流を流せるようになった。従来は、SiCトランジスタにおいて逆方向電流を流そうとした場合、立ち上がり電圧が約2.5Vと高くなるので、立ち上がり電圧が低い外付けダイオードを接続する必要があった。パナソニックによると、DioMOSでは、0.8V程度の低電圧で逆方向電流を流せるようになったという。さらに、導電性チャネル層の設計を改善することで、オン抵抗を150A時で6mΩに低減した。

ワイヤボンディング不要のモジュール化技術

 さらに、SiCチップとモジュールの入出力端子を直接接続する三社電機独自のモジュール化技術である「テクノブロックパッケージ」を採用し、低背化を図った。従来は、トランジスタの表面電極とモジュールの内部配線をワイヤボンディングで結線していたが、テクノブロックパッケージでは、はんだ接合を採用、モジュールの内部配線を簡素化した。これにより、従来比で1/2の低背化が実現したという。ワイヤボンディングがなくなるので、それに起因する不具合がなくなり、信頼性も向上するとしている。

 パナソニックと三社電機は、2013年5月から同モジュールの共同開発に取り組んできた。なお、今回発表したSiCパワーモジュールの製品化は、現時点では未定だという。

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