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ルネサスの最新半導体ソリューション(9)――可視光通信を組み込んだ照明で位置案内や省エネなどを実現:福田昭のデバイス通信(11)(2/2 ページ)
「デブコン大阪」の展示リポートの最後は、「オフィス」「ファクトリー」関連の技術を紹介する。オフィスの照明に可視光通信機能を組み込み、オフィス内の人間の位置情報を把握するシステムや、産業用イーサネットでモーターをリアルタイムに制御する技術などが展示された。
可視光通信で照明を細かに制御して省エネを実現
オフィスの照明に可視光通信システムを導入することは、照明電力の削減にも応用できる。例えばワーカーが外出などで不在のデスクでは、デスク上の照明を自動的にオフする。また天気の良い昼間は、窓付近の照明を弱くする。こういったきめ細かな調光によって照明の消費電力を抑える。
ルネサスはDALI通信とデジタル電源をサポートする照明ソリューション・ボードを使うことで、きめ細かな調光を実施し、オフィスの照明による消費電力を最大で30%程度、削減できるとしていた。
産業用イーサネットを通じてモーターをリアルタイムに制御
「ファクトリー」に関する展示では、リアルタイム制御用のハイエンドマイコン「RZ/T1」によるモーターのACサーボ制御ソリューションが注目を集めていた。
32ビットマイコン「RZ/T1」は、産業用イーサネット通信とモーター制御の両方の機能を備えている。展示ブースではRZ/T1を搭載したボードをスレーブ側、32ビットCPUコア内蔵SoC「R-IN32M3」を搭載したボードをホスト側とし、産業用イーサネット通信規格「EtherCAT」を通じてホストからスレーブにモーターの位置指令を送り、スレーブからホストに位置情報を送ることで、モーターをリアルタイムに制御して見せていた。
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