「もう4Kには戻れない」――8Kディスプレイ、医療分野でのニーズ高く:第25回ファインテック ジャパン
「第25回ファインテック ジャパン」では、98インチ8Kの液晶ディスプレイや、260インチ4KのLEDディスプレイなど、大型ディスプレイの展示が目を引いた。8Kディスプレイは、医療分野でのニーズが高まっていて、医師からは「もう4Kには戻れない」という声も出ているという。
中国の液晶ディスプレイメーカー大手BOEの日本法人であるBOEジャパンは、薄型ディスプレイ技術の総合展示会「第25回ファインテック ジャパン」(2015年4月8〜10日、東京ビッグサイト)で、98インチの大型8K(7680×4320画素)液晶ディスプレイを展示した。既に国内外で販売を開始している。価格は約2000万円だが、「今後は2000万円を切りたい」(同社)としている。
8K見据える医療分野
この8K液晶ディスプレイは、法人向けに販売を開始して約1年になる。BOEジャパンによると、8Kディスプレイは特に医療分野からのニーズが高いという。同社は「外科手術の様子を8Kディスプレイに映し出すと、4Kディスプレイでは見えなかった縫合糸まで見えるようになったと驚かれている。医師からは、8Kディスプレイを見てしまうと、もう4Kには戻れないとの声を聞いたこともある」と話す。
4Kディスプレイも医療分野から導入が進んでいるが、同分野でのディスプレイのニーズは既に8Kに移っているようだ。
「98インチのディスプレイを手術室に持ち込むことは難しいかもしれないので、まずは医学生への手術の解説など、教育現場をターゲットにしたい」(BOEジャパン)。また、現在はディスプレイとして医療分野などを狙っているが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、いずれは8Kテレビとして民生分野もターゲットにしていきたいと語った。
BOEジャパンは、98インチ8K液晶ディスプレイの映像を体感できる「8Kサロン」を、東京都港区の本社に開設していて、予約すれば企業・個人にかかわらず利用できる。自身で撮影した高解像度画像を、8Kディスプレイで観賞することもできるという。
260インチ、4K LEDディスプレイ
シリコンコア・テクノロジーは、1.5mmのドットピッチを実現した、260インチの4K(3840×2160画素) LEDディスプレイ「MAGNOLIA」を展示した。サイズが幅480mm×高さ270mm×奥行き95mmで、解像度が320×180画素のユニットを144枚使用して、超大型ディスプレイを実現している。2000cd(カンデラ)/m2と輝度が高く、視野角も160°と広い。これまで、LEDディスプレイのドットピッチは、5mmや2.9mmが主流だった。1.5mmのドットピッチを実現したことで、より高精細な映像を表現できるようになる。
劇場や大型の商業施設、パブリックビューイングなどをターゲットとしている。
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