「Apple Watch」は好調でも、“キラーアプリ”不在のスマートウオッチ:オピニオン(2/2 ページ)
スマートフォンという新しい製品カテゴリを生み出したApple。「Apple Watch」でも、同様にスマートウオッチというカテゴリを定義できるのだろうか。スマートウオッチならではの“キラーアプリ”を作り出せるかどうかが、鍵になるだろう。
見向きもされなかった「iPhone」
ある中国人の教授は、近頃参加したあるモバイルセミナーで、「Appleが最初にiPhoneを発売した時のことを覚えているだろうか。当時、Nokiaなどほとんどの携帯電話機メーカーは、iPhoneには取り合わなかった。彼らは、『大手メーカーの携帯電話機に比べて、iPhoneは電話機としての品質が欠けている』と話していた」と語る。
こうした人は、Appleが「携帯電話機を作っているわけではない」ということに、気付かなかった。Appleは、インターネットに接続するという機能を持たせた、まったく新しいカテゴリの製品を作っていたのだ。最終的には、多くの人がこの機能にほれ込んだ。
同じことが、スマートウオッチにも当てはまるだろう。
Appleの設計者は、“紙一重”のところを行っている。Apple Watchは、単なる時計でもなければ電話でもない。
彼らは、Apple Watchを、“フル機能を備えたスマートフォン”にすることを避けている。多くの人はスマートフォンを肌身離さず持ち歩いている。まったく同じ機能を腕時計にも搭載する必要はないだろう。
スマートウオッチの“キラーアプリ”は?
もちろんApple Watchで時間は分かる。だがApple Watchは、SwatchやTimexと競合するために設計されたわけではない。単に歯医者に行く時間を確認するためだけにApple Watchを買うには、価格も電池の持ちも見合わない。
Apple Watchの価値は、片手だけでいくつもの事を行える点にある。「Apple Pay」を使った支払いや、カメラの遠隔操作、その他多くのアプリが搭載されている。これらは、十分といえるのだろうか。筆者には分からない。Appleの開発者たちは、スマートウオッチ向けの“キラーアプリ”を見つけたのだろうか。これも筆者は分からない。
今は、スマートウオッチの利便性を試している段階だろう。スマートウオッチならではの使い方が登場することを楽しみに待つことにする。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スマートウオッチは“歩きスマホ”を減らす?
Googleの「Android Wear」を搭載したスマートウオッチの発売が続いている。腕時計で時間を確認する感覚でメッセージを確認できるスマートウオッチは、増加する“歩きスマホ”による事故の件数を減らすことにつながるのだろうか。 - Apple Watchを分解、心臓部の「S1」がお目見え
「Apple Watch」の販売が始まった。売れ行きも気になるが、それと同じくらい気になるのが“中身”だ。iFixitが早速分解に挑んでいる。タッチスクリーンコントローラにAnalog Devices(ADI、アナログ・デバイセズ)の「AD7166」が採用されていることが分かった。 - 「Apple Watch」、なぜ身に着ける?
「Apple Watch」は確かに注目を集めた。だが、スマートウオッチ市場そのものは、いまひとつ盛り上がりに欠けているように見える。腕時計を身に着ける理由は、昔に比べて格段に複雑になっているのだろうか。 - 開発メーカーに聞きたい、なぜ“ウェアラブル”なのか?
続々と市場に投入されるウェアラブル機器。大手電機メーカーも相次いでウェアラブル製品を発表している。しかし、ウェアラブル、つまり“身に着けられる”ことが「ユーザーにとって一番の利点」だと本当に考えて製品を開発しているメーカーは、どれだけあるのだろうか。