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低温・溶液プロセスで高効率、高信頼性の新型太陽電池の作製に成功注目集める“太陽電池ペロブスカイト”(2/2 ページ)

次世代太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池を低温・溶液プロセスを用いながら、従来よりも高い変換効率、信頼性を実現したと物質・材料研究機構が発表した。

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耐久性、信頼性が向上

 開発した低温・溶液プロセスは、高温熱処理を必要とする金属酸化物膜などが不要で、簡単なスピンコート法を用いることができる。処理温度は、最高でも140℃、実用上は120℃未満とする。そのため、ペットボトルに用いられるようなプラスチックなどを使った軽量・フレキシブルな太陽電池の製造が可能になる。



約2時間、連続して光を照射した場合の出力特性グラフ。黒い線が従来プロセスによる素子、赤い線が新プロセスで作製した素子の特性 出典:物質・材料研究機構

 耐久性についても、素子をガラスを用いて封止したところ、通常の室内保管した状態で定期的に性能をチェックしても、2カ月以上にわたり、ほぼ初期の性能を維持していることが判明した。NIMSは「数十回以上の測定を実施しても、出力特性が劣化することはなく、詳細なメカニズム解析に必要な安定性を十分備えている素子を作製することに成功した」としている。

 従来の相互拡散法で作製した素子の場合、太陽光に相当する光を照射して2時間後で出力電流に劣化がみられたが、新作製法で作製した素子は同条件でも顕著な劣化はなく、より耐久性が向上したという。

 さらに新作製法による素子では、電流−電圧曲線でヒステリシスは観測されず、「ヒステリシスは電圧掃引速度に依存するといわれているが、電圧掃引速度にも依存しないことがわかった」(NIMS)。


今回開発したペロブスカイト太陽電池の出力特性 出典:物質・材料研究機構

解析進め、さらなる効率と耐久性を追求へ

 NIMSでは、「優れた耐久性を有する本素子を基に、太陽電池内部におけるペロブスカイト結晶状態やペロブスカイトと接する各電荷輸送層の界面状態について、等価回路モデルやインピーダンス測定などによる解析を進めて性能との相関関係を明らかにし、次世代太陽電池の高効率化と耐久性のさらなる向上に貢献する」としている。

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