感電しないコンセントと伝説の元クラッカー:フリースケール開発者会議(FTF)レポート(3)(2/2 ページ)
今回は、「FTF 2015」の基調講演から、感電のおそれのないコンセントと、伝説の元クラッカーの話を紹介する。コンピュータやネットワークなどのセキュリティにおいて、「今後、最も脅威となり続けるものは何か?」と問われた元クラッカー。さて、何と答えたのだろうか。
顔認識機能とネット接続機能の付いたドアホン
続いてGalloway氏は、顔認識機能とネット接続機能の付いた住宅用ドアホンを紹介した。製品ブランド名は「Chui」。ドアホン(室外側)のカメラが訪問者の顔を認識し、あらかじめ登録済みの顔と一致すると、ドアのロックが自動的に外れる。またドアホンはインターネットに接続されており、スマートフォンのアプリを通じて訪問者の存在を知らせることができる。
つまり「Chui」は、顔認識機能を利用したキーレスエントリーでもある。ちなみに登録済み顔画像の写真をドアホンのカメラに見せたときは、偽物だと認識する。
伝説の元クラッカーがゲストとして登場
IoTトラックの紹介が完了した後は、カメラは会場に切り換わった。Lowe氏が再び登壇し、キーノート講演の続きを進めた。
IoT、すなわち、あらゆる物がインターネットにつながったときに問題となるのは、データが漏えいしたり、特定の物になりすましたりといった破壊行為だろう。ネットワークのセキュリティを保つことが非常に重要である。コンピュータやネットワークなどのセキュリティに関し、このキーノート講演では、ある著名な人物をゲストに招いた。
その人物とはKevin Mitnick氏。かつて全米の犯罪捜査当局を手玉にとった凄腕のクラッカーであり、現在はセキュリティのコンサルタントを務めている。肩書はセキュリティに関するトレーニング会社KnowBe4の「Chief Hacking Officer」と紹介されていた。
Lowe氏とMitnick氏が椅子に座り、Lowe氏が質問してMitnick氏が答えるという対談形式でセッションは進行した。途中からはTwitter経由で寄せられた質問にMitnick氏が答える形式に切り換わった。いくつかの質問の中で最もウケたのは、最後の質問に対するMitnick氏の回答である。質問は「Years from now, what will still be the biggest security threat? (今後の数年を見据えたとき、セキュリティにとって最大の脅威であり続けるものとは何でしょうか)」。この質問に対するMitnick氏の回答が「It’s me(それは(元クラッカーの)僕だよ)」。ここで会場が小さな笑いに包まれ、続いてMitnick氏が「Human(人間のことだよ)」とかぶせたことで会場は爆笑の渦となった。なかなか含蓄のある答えで、とても面白かった。
(次回に続く)
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