超小型化した1MビットFRAMはウェアラブル機器を救うか:バッテリーの寿命延長も可能に
富士通セミコンダクターは2015年7月、1MビットFRAM「MB85RS1MT」のラインアップに8ピンのウエハーレベル・チップサイズパッケージ(WL-CSP)を新規に追加したと発表した。従来製品のSOPパッケージと比べ、実装面積を23%、薄さを約5分の1にした。書き込み時の消費電力が少ないFRAMは、バッテリーの寿命延長にも貢献。ウェアラブル機器向けに展開していく。
急速に拡大する、ウェアラブル市場――。アクセサリーやスポーツ、医療向けなどさまざまな分野で活用されているが、いずれもリアルタイムログの連続記録が必要になる。
富士通セミコンダクターは2015年7月、1MビットFRAM「MB85RS1MT」のパッケージラインアップに、超小型パッケージとなるウェハーレベル・チップサイズパッケージ(以下:WL-CSP)を追加したと発表した。
バッテリーの寿命延長も
同社のFRAMは、EEPROMやフラッシュメモリなど汎用不揮発性メモリの100万回の書き換え回数を大きく上回る10兆回を保証し、リアルタイムログ・データの記録に有効だ。その長所をさらに生かすため、WL-CSPでは3.09x2.28x0.33mmの超小型化を実現した。
従来のパッケージ(8ピンSOP)と比較すると、実装面積は約77%の削減が可能となった。薄さはクレジットカードの約半分となる0.33mmを実現し、実装体積比ではSOPの約95%の体積を削減することができる。
FRAMは「低消費電力」の特長をもつ。同じ不揮発性メモリの汎用EEPROMと比較すると、データの書き込み時間が短いため、書き込み時の消費電力量を減らすことが可能だ。つまり、「リアルタイムログ・データの記録が頻繁に発生するウェアラブルデバイスの小型化・薄型化・高機能化に貢献し、バッテリーの寿命延長を可能にする」(同社)という。
急速に市場が拡大するウェアラブル市場をもう一段飛躍させる鍵となるだろうか。
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