ヨコオが提携、WI製AFM方式プローバを販売:企業動向 テスト計測
ヨコオは、Wafer Integration(WI)と提携した。WI製半導体電気特性評価システム向けAFM方式プローバ「DdProber」の販売と技術サポートをヨコオが行うことになった。
ヨコオは2015年7月13日、Wafer Integration(WI)と提携したことを発表した。第1弾としてWIが開発/製造した半導体電気特性評価システム向けAFM方式プローバ「DdProber」について、ヨコオが販売と技術サポートを行う。
WIは、2010年に設立されたベンチャー企業である。産業技術総合研究所が基本特許を持つ「自己検知型AFM(Atomic Force Microscope、原子間力顕微鏡)技術」をベースに、半導体電気特性評価システムを開発している。
ヨコオが販売することになったDdProber「WI-3000」は、半導体チップ上にあるトランジスタのI-V特性などを測定/評価するための自己検知型AFM方式プローバである。原子間力検出センサーであるピエゾ抵抗を内蔵したカンチレバーにより、針圧変化を自ら検出してAFM操作を行ったり、トランジスタに直接コンタクトしたりすることができる。これにより、従来はプロービング操作のために必要であった光学系が不要となり、原子間力検出機構を簡素化することができたという。
この結果、装置の外形サイズは、駆動部が45×71×65cm、制御部は70×125×70cmとコンパクトな形状にすることができた。プロービングの制御はPCで行う。電気的な測定は半導体パラメトリックアナライザを用い、TEGによる通常の電気特性と同じ環境で行うことができる。なお、測定可能なトランジスタのテクノロジノードは22nmプロセスまで対応できる。AFM像の取り込み時間は約1分である。
今回の提携の基づき、WIは製品設計と製造を担当し、ヨコオがシステムの最適化や世界の顧客に対する販売と技術サポートなどを行う予定だ。ヨコオは富岡工場内に「DdProber評価センター」を設置し、2015年8月より運用を開始する予定である。なお、WIは2017年の完成に向けて、量産ライン向けDdProberを開発していく。
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