ルネサス、電池の長持ちと長寿命化を実現するIC:電池残量計と充電機能を1チップに内蔵
ルネサス エレクトロニクスは2015年7月、リチウムイオン電池管理IC「RAJ240500」を開発し、サンプル出荷を開始したと発表した。電池残量計と充電機能を1チップに内蔵したことで、電池の使用時間を伸ばし、長寿命化を実現。タブレットPCやノートPCなどのモバイル機器市場へ展開する。
ルネサス エレクトロニクスは2015年7月、リチウムイオン電池管理IC「RAJ240500」のサンプル出荷を開始したと発表した。高精度な電池残量計と充電機能を1チップに内蔵したことで、電池の容量や劣化度合いに応じた充放電制御が行える。そのため、電池の使用時間を延ばし、長寿命化が可能となった。
モバイル機器電池の従来の制御方法は、電池が持っている本来の容量を使いきれていない場合があった。容量が余っている状態で制御を繰り返すと、充放電のサイクル寿命が短くなってしまう。このような課題に対して、RAJ240500は効果を発揮する。
高い安全性を確保
電池残量計と充電機能を1チップに内蔵したメリットは細かい充電制御が可能になるだけではない。計測機能と充電機能が一体になったことで、充電で異常が起こったら瞬時に電池を保護することが可能になる。大電流によるアダプターの損傷や発火も事前に抑制し、高い安全性を確保することができるのだ。
また、インテルが提案する高効率な電源アーキテクチャNVDC(Narrow VDC)に対応したことで、従来のシステムと比較し部品点数を約20%削減した。小型化するとともに、設計負担の軽減やシステムのコストダウンにつながるという。
モバイル機器市場へ展開
RAJ240500はタブレットPCやノートPCなどのモバイル機器市場へ展開していく。サンプル価格は1個当たり1000円(税別)。2015年10月から量産を開始し、2016年10月には月産1000万個の出荷を計画しているという。
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