5Gの商用化は2022年以降、けん引役はIoTに:世界の通信事業者58社に聞いた(3/3 ページ)
Telecommunications Industry Association(TIA)は、世界中の通信事業者58社を対象に、5G(第5世代移動通信)について調査を行った。多くの通信事業者が、5Gでは「完全な商用化は2022年以降」「けん引役はIoT」「開発と導入ではアジアがリード」と考えていることが明らかになった。
初期のサービス展開では低周波数帯が好まれる傾向に
回答した通信事業者の66%は、「5Gが複数の周波数帯をサポートする」とみており、54%は「5Gが2種類以上の無線インタフェースを採用する」とみている。
また、通信事業者は5Gが複数の低〜高周波数帯を使うようになると見込んでいる。調査によって、事業者が5Gサービスを立ち上げるに当たり、高い周波数帯よりも低い周波数帯を重視する傾向があることが明らかになった。TIAのホワイトペーパーによると、初期のサービス展開ではより低い周波数帯域が好まれる見込みだという。
それぞれの周波数帯について、「重要」あるいは「まったく使われない」と考えている通信事業者の割合。グラフの色は、左(水色)から「かなり重要」「重要」「ある程度有効」「ぎりぎり有効」「まったく使われない」(クリックで拡大) 出典:TIA
アジアの通信事業者の間では、欧米に比べて、「5Gにとって60〜80GHzの周波数帯が重要である」という見方が強い。このことは、アジア市場でミリ波技術の適用に対する要求がより大きいことを示している。これとは対照的に、調査の対象となった欧州の事業者の半数は1〜5GHzを重要とみなしている。1〜5GHzの周波帯域が重要と答えたのはアジアでは29%、北米では18%だった。
回答した通信事業者の約4分の1は、互換性のない5Gシステムは、異なる用途向けに登場すると考えている。
TIAは次のように記載している。
5Gに多様な要件が提案されていることや、ほとんどの回答者が「5Gは複数の無線インタフェースを採用するようになる」と期待していることを踏まえると、このような結果は驚くことではない。一方、業界の一部では、可能な限り多くの市場に使える、拡張できるインタフェース開発への要望が根強い。調査に回答した事業者のうち23%が、互換性のない無線インタフェースが登場する見込みは「ない」もしくは「全くない」と回答しているものの、それがどうなるかまだ確信できてないのが現状のようだ。
5Gは“大幅に異なる”アーキテクチャを持つ
通信事業者の47%は「5Gが既存の携帯電話ネットワークとは“大幅に異なる”システムアーキテクチャを持つようになる」と見込んでいる。さらに、27%は“根本的に異なる”システムアーキテクチャが5Gを実現する唯一の方法であると確信しているという。
TIAは「この結果は、『5Gは無線アクセスネットワーク(RAN)を超える大変革になり、数多くのさまざまな技術を採用するようになる』という大方の見方を裏付けるものである」とした上で、そのような技術の例としてSDN(Software-Defined Network)とNFV(Network Function Virtualization)を挙げた。
通信事業者は、周波数帯の一部を共有するAuthorized Shared Access(ASA)について、以前よりも少し好意的になっているようだ。ASAが5Gに「不可欠」と答えた割合は26%、「重要」と答えた割合は32%となっている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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