スモールセル向けORIは“使える規格”――富士通:「NIWeek 2015」 相互運用性の実証で(3/3 ページ)
スモールセルを構成する基地局とリモートラジオヘッド(RRH)間の通信には、Open Radio Equipment Interface(ORI)という比較的新しい規格が存在する。そのORIが“実際に使える規格”であることを証明したのが富士通だ。National Instruments(NI)のイベント「NIWeek 2015」にて、富士通の取り組みを聞いた。その他、同イベントで行われたNokia Networksのミリ波通信と、Samsung ElectronicsによるFD-MIMOのデモも紹介する。
ミリ波通信とMIMOのデモも
「NIWeek 2015」(2015年8月3〜6日、米国テキサス州オースチン)の基調講演では、NIが5G向け技術で提携しているNokia NetworksやSamsung Electronicsが、それぞれの開発の成果を披露した。
73GHz帯で10Gbpsを達成
Nokia Networksは今回、73GHz帯(いわゆるEバンド)を使ったミリ波通信のデモにおいて、10Gbps(ギガビット/秒)の速度を達成した。実験室内ではなく、イベント会場で10Gbpsの通信速度を達成したのは「初めて」(同社)だという。
Massive MIMOの一歩手前、FD-MIMO
Samsung Electronicsは、FD-MIMO(Full Dimension MIMO)のデモを披露した*)。FD-MIMOは、3次元でビームフォーミングを行うもので、現時点ではSamsungとNokiaが提唱している。
*)関連記事:補助人工心臓に5G向けMIMO、NIが活用事例を披露
FD-MIMOについては、2012年から規格化に向けたワークショップが始まっていて、2016年末には3GPP Release 13にて規格策定が完了する見込みである。Samsungは、FD-MIMOをまずは6GHz帯以下で活用しようとしている。そのため、6GHz帯以上のより高い周波数帯で用いられるとされるMassive MIMO(大規模MIMO)の“一歩手前の技術”と位置付けているようだ。
デモでは、Samsungが開発した基地局から、NIのSDR(Software Defined Radio)ハードウェア「NI USRP-2953R」4台に同時に電波を送信。これらが20M〜30Mbpsで通信することを示した。
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