IntelのAltera買収、その行方は?(前編):M&Aでは“黒歴史”も持つIntel(3/3 ページ)
2015年6月に、Alteraを167億米ドル(約2兆円)で買収すると発表したIntel。業界には、IntelによるAltera買収の行く末を懸念する声も出ている。M&Aでは失敗事例も多いIntelだが、Altera買収に対する業界からの懸念は何としても払しょくしたいところだろう。
Alteraの件では慎重なIntel
このような過去を教訓とするなら、Alteraもぞんざいな扱いを受けて忘れ去られ、Intelの奥深くに埋もれてしまう可能性があるのではないだろうか。しかしIntelは、このようなシナリオを強く否定している。
EE Timesが本記事のためにIntelにインタビューを申し込んだところ、同社からは丁重な断りの連絡があったが、代わりに以下のような返答があった。「今回の買収は、当社の中核となる資産を他の市場セグメントでも有効に活用しようとする、成長戦略に沿ったものだ。Alteraにとっても、既存のFPGA事業を成長させるとともに、データセンターやIoT(モノのインターネット)市場で新しい製品群を生み出す機会になると確信している」。
現在、IntelによるAltera買収には、大きな注目が集まっている。業界アナリストたちは、「かなりの注目を浴びているため、Intelは慎重に事を進めざるを得ないだろう」と確信しているようだ。
米国の市場調査会社であるEnvisioneering Groupでリサーチディレクタを務めるRichard Doherty氏は、「数多くの投資家たちが、Alteraを注意深く見守っていくだろう。これらの投資家はIntelに対し、Alteraの中核技術とマーケティング関連の専門知識を維持していくことを期待している」と述べている。
Intelは、15年前とはまったく別の企業に生まれ変わったと認識されるようになっている。
Intelの広報担当者は、EE Timesの取材に対し、「Intelがここ10年で手掛けた大規模な買収は、株式公開企業では、McAfeeとInfineon Technologiesの無線通信事業部門、そして現在進行中のAlteraの3件だけだ」と述べている。同担当者は「その他、株式非公開企業についてもいくつか買収している。小規模なエンジニアリングチームや、関連するIP(Intellectual Property)だけを買収したといったケースもある」と付け加えた。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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