GaN素子単体でノーマリーオフ、2017年に投入へ:トランスフォームが開発中(2/2 ページ)
トランスフォーム・ジャパンは現在、単体でノーマリー・オフ動作するGaNパワー素子を開発中だという。2017年には本格的に市場に投入する予定だ。ノーマリー・オフ動作を実現するために、MOSFETとカスコード接続するといった手法をとる必要がなくなる。
日本は“様子見”のメーカーが多い
同社によると、現在、GaNパワー半導体の採用には中国・台湾・韓国が積極的だという。日本はどちらかというと“様子見”の姿勢を示すメーカーが多いようだ。市場としてはこれから大きく分野であり、トランスフォーム・ジャパンも「GaNパワー半導体の日本市場はあと2〜3年すれば大きく伸び始める」とみている。まずは太陽光発電システムなどに使われるパワーコンディショナーや家電・サーバ向けの一般電源から、GaNパワー半導体の採用が始めり、その次が自動車だという。「自動車に採用され始めれば、日本と欧州でGaNパワー半導体市場が一気に成長するのではないか」(同社)。
なお、Transphormは2015年6月、米国の投資ファンド大手であるKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)が率いる投資コンソーシアムから7000万米ドルの投資を受けたと発表した。トランスフォーム・ジャパンは「この投資を受けたことは、資金面で大きかった。それだけGaNの技術が期待されているということ」と述べている。
Transphormとトランスフォーム・ジャパン、富士通セミコンダクターは2015年1月に、福島県会津若松市にある富士通セミコンダクターグループのCMOSプロセス互換150mmウエハー製造ラインにおいて、電源用GaNパワー半導体の量産を開始したと発表した。それから間もなく1年だが、「量産規模は公表していない」(トランスフォーム・ジャパン)としながらも、中国・台湾向けを中心に量産規模は順調に拡大しつつあるようだ。CMOSプロセス互換の製造ラインを使用していることから、量産規模の拡大にも対応しやすいという。
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