シリコンバレーで“金の卵”を探す中国:上海企業がインキュベータを開設(2/2 ページ)
中国が、More than Moore(モアザンムーア)を求めて、ハードウェア分野での新興企業や事業拡大を支援する組織(インキュベータ)を開設した。潜在能力を秘めた新興企業に、よりアクセスしやすくすることが狙いだ。
ハードルが高い、MEMSのエコシステム構築
IHSでMEMSおよびセンサー市場を担当しているJérémie Bouchaud氏はEE Timesに対し、「中国は、IoT市場やIoT向けセンサー技術に関して壮大な計画を立てている。だが、研究開発、新興企業、IDM(垂直統合型デバイスメーカー)において、強力なMEMSのエコシステムがない」と説明する。
同氏は、中国がシリコンバレーにインキュベータを開設したのは、中国以外の革新的な技術の情報を手に入れやすい環境を整え、国外企業との提携を加速するためだとみている。
Yole Développementのプレジデント兼CEOであるJean-Christophe Eloy氏は、SITRIの戦略を「懸命」だと評価している。
ただし、MEMSのエコシステムを構築するのは簡単ではない。「MEMSでは特殊なプロセス技術を使うからだ」(Bouchaud氏)。同氏は、「ファウンドリが何らかのプラットフォームを用意したとしても、量産体制に入るためには、顧客別にプロセスをチューニングする必要がある」と説明した。
SITRI InnovationsのプロモーターであるPetersen氏は、EE Timesのインタビューにおいて「われわれの目的は、IoTというよりは、あくまでMore than Mooreである」と明言した。現在、MEMSデバイスには加速度センサー、角速度センサー(ジャイロセンサー)、マイクロフォンなどがある。Petersen氏は、将来的には、これらに加えて、アンテナチューナ、パワーアンプ向けフィルタ、LNA(ローノイズアンプ)向けフィルタ、化学センサー、力センサー(フォースセンサー)などが出てくるだろうと予測している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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