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シンガポール、自動運転技術に積極投資:深刻な渋滞の緩和も狙い(2/2 ページ)
シンガポールが自動運転技術に力を入れている。東京23区と同程度の国土面積に550万人の人口を抱える同国では、年々渋滞の問題が深刻になっている。そこで政府が目を付けたのが自動運転だ。
ゴルフカートが中国庭園で自動走行!
シンガポールの自動道路交通委員会(CARTS:Committee on Autonomous Road Transport in Singapore)は、国民に対して自動車の相乗りを推奨し、自家用車の所有を抑制するという構想を論理的に拡大した、自動輸送システム計画を主導している。CARTSは、先述した展望に従いながら、以下の取り組みに注力していく考えだ。
- 固定/定期サービス:都市部の移動手段として、固定ルート上を定期的に運行する公共交通機関を整備する
- ポイント・ツー・ポイントのオンデマンドサービス:ルートを柔軟に変更できる共有サービスを提供することで、ポイント・ツー・ポイントの移動を実現する
- 貨物輸送:貨物の長距離輸送を実現する
- 公益事業:道路清掃のような公益事業を生み出す
現在、シンガポール政府は、民間セクター主導で自動運転の実証実験を行おうとしている。LTAはこれを活用するため、2015年1月、シンガポール初となる自動運転向け試験場をOne Northと呼ばれるエリアに設立した。以来、Institute for Infocomm Research(I2R)や、Singapore-MIT Alliance for Research and Technology(SMART)といった機関が、自動運転技術のテストを行うための承認を得ている。
2014年後半には、シンガポール南西部のジュロンにある中国庭園と日本庭園で、ゴルフカートを自動走行させる試験を行った。この試験では、2度の週末にわたって開催され、500人がゴルフカートに乗った。走行距離は延べ400kmにおよんだという。
中国庭園を走る自動運転のゴルフカート 出典:SMART
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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