漫然運転検知に「深層学習」、誤差は従来比1/3に:不注意運転も、漫然運転も見逃さない
三菱電機は、直線走行時の漫然運転を検知する「漫然運転検知アルゴリズム」を開発した。居眠り運転や脇見運転に加えて、漫然運転も検知できるドライバーセンシングユニット(DSU)を2019年以降にも製品化する予定である。
三菱電機は2015年10月、直線走行時の漫然運転を検知する「漫然運転検知アルゴリズム」を開発したことを発表した。居眠り運転や脇見運転に加えて、漫然運転も検知できるドライバーセンシングユニット(DSU)を2019年以降にも製品化する予定だ。
新たに開発した技術は、ハンドル舵角などの車両情報、心拍数などの生体情報、顔向きなどの顔情報を収集し、時系列データとしてシステムに入力する。これら複数の入力データを基に機械学習アルゴリズムを用いて、運転者にとってのあるべき「適切な運転状態」をリアルタイムで予測する。
状態予測を行うためのデータは、複数のセンサーによる時系列データを用いることで、漫然運転の検知をより高精度に予測することができるという。なお、データ収集には非接触の生体センサーとCAN対応の車載ネットワークを利用する。顔情報については車内カメラを用いる。
予測した「適切な運転状態」と「現在の運転状態」が、著しく異なる場合には、システム側で漫然運転と判断し、運転者へ警告を発する仕組みである。居眠りや脇見といった不注意運転だけでなく、運転者が注意散漫になっている状況をいち早く検知することで、事故を未然に防止する。
「適切な運転状態」であることを予測する機械学習アルゴリズムには、高い学習効果が得られる「深層学習」を採用した。深層学習は、収集したデータについて時間の前後関係を考慮して予測する構造となっている。このため、時間の前後関係を考慮しない従来の「3層ニューラルネットワーク」法に比べて、予測誤差を1/3に低減することが可能となった。
今回の開発成果については、東京ビッグサイトで開催される「第44回東京モーターショー2015」(2015年10月29日〜11月8日)会場のブースでデモ展示する。
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