三重富士通、40nmクリーンルームに次世代空調:2016年度量産に向け準備着々
三重富士通セミコンダクターは2015年11月5日、2016年度からの量産を目指す40nmプロセス製造ライン用クリーンルームを増設し、同クリーンルームに次世代型の省エネ空調システムを導入したと発表した。
従来よりも省エネ運用可能に
三重富士通セミコンダクターは2015年11月5日、半導体前工程製造拠点である三重工場(三重県桑名市)内に増設したクリーンルームに省エネルギー型の次世代空調システムを採用したと発表した。
同社は2014年12月に、富士通セミコンダクター三重工場を母体にして誕生したファウンドリー専業会社。300mmウエハーラインを持つ三重工場で、システムLSIの受託生産を手掛ける。
同工場は現在、90〜55nmプロセスに対応した生産設備を持ち、2016年度中をメドに40nmプロセス製造ラインを立ち上げ、量産を開始する計画。今回、増設したクリーンルームは、40nmプロセス製造ラインの新設に備えたものである。
同クリーンルームに導入した空調システムは、高砂熱学工業製の旋回流誘引型成層空調システム「SWIT(Swirling Induction Type HVAC system)」で、同クリーンルームに全面的に採用したという。三重富士通セミコン、高砂熱学の両社によると、半導体前工程クリーンルームでの旋回流誘引型成層空調システム稼働は「世界初の取り組み」としている。
機器の発熱を利用
SWITは、クリーンルーム内で温度成層を形成し、機器などの発熱体から発生する熱上昇流とともに浮遊微粒子を室上部へと搬送するシステム。室内下方の作業域で清浄度が効率的に高まる仕組みで、従来の空調システムよりも給気風量を削減できる。給気温度も高く設定でき、冷水温度を上げることによるエネルギー効率の向上も図ることができる。
三重富士通セミコンでは、旋回流誘引型成層空調システムの導入により、従来空調システムよりも、搬送動力で約47%、熱源動力で約32%の年間消費エネルギーを削減できるとみている。
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