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5G向け変調方式をめぐる研究開発が活発化:要素技術の1つ(2/2 ページ)
5G(第5世代移動通信)を実現する要素技術の1つに、新しい変調方式がある。多くの場合は、既存のOFDM(直交周波数分割多重方式)をベースにしたものだ。現在、変調方式をめぐる研究開発が活発になっている。
他の変調方式と互換性のあるGFDM
Fettweis氏は、自身が提唱するGFDMについて「細部を調整することで複数の方式と互換性を持たせることができる優れた方式だ」と主張している。GFDMのキーポイントの1つは、独自の技術によって、データパケットを短い状態に保って遅延をミリ秒単位まで低くできるという。Fettweis氏は、「1パケットが70マイクロ秒長の場合、フィルターをかけた全パケットも70マイクロ秒長に保つことができる」と説明している。
また、GFDMは低いピーク対平均電力比(PAPR)を保持できるため、低電力でパワーアンプを稼働できるという。Fettweis氏は、「GFDMはPAPRを悪化させないだけでなく、ほとんどの場合、劇的に向上できることが検証されている」と述べている。
Fettweis氏は、「GFDMによって、IoT(モノのインターネット)の新たな使い方が開かれる」と主張する。GFDMの適用事例は、Tactile Internet(タッチインターネット)という概念で説明され、具体的な用途として、無線マルチプレイゲームや仮想現実、小売販売向けデモ、産業/ロボット/医療分野における遠隔操作・管理などが挙げられるという。
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