200mmウエハー対応の測長SEM、生産性を向上:SEMICON Japan 2015会場レポート
日立ハイテクノロジーズは、「SEMICON Japan 2015」において、100〜200mmウエハーサイズに対応したFEB(Field Emission Beam)測長装置(測長SEM:走査電子顕微鏡)「CS4800」をパネル展示した。既存装置との置き換えを容易にしつつ、計測再現性や生産性の向上を図った。
日立ハイテクノロジーズは、「SEMICON Japan 2015」(2015年12月16〜18日、東京ビッグサイト)において、100〜200mmウエハーサイズに対応したFEB(Field Emission Beam)測長装置(測長SEM:走査電子顕微鏡)「CS4800」をパネル展示した。最新の計測技術などを組み込むことで、計測再現性や生産性の向上を図った。
新製品は、IoT(モノのインターネット)機器向けで需要拡大が期待されている通信デバイスや各種センサーなど、外径サイズが200mmあるいはそれ以下のウエハーを用いて製造される半導体デバイスの微細パターン寸法を高精度に測定する装置である。シリコンベースのICに加え、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いたパワー半導体、HDDの薄膜磁気ヘッドに用いるALTIC基板など、さまざまな材質におけるラインアンドスペースやコンタクトホールなどのパターン寸法を高い精度で測定することができる。
CS4800は、分解能が2nmのカラムを搭載し、SEM像の高画質化を図っている。計測再現性は1nm(3σ)である。また、従来機ではオペレータが手作業で行っていた光学軸調整作業を自動化した。これによって、作業者の熟練度などで生じる測長ばらつきを低減することが可能となった。
オートローダーは2ポート装備しており、最大2種類のウエハーサイズの自動搬送も可能とした。「チップの試作は100mm径のウェハーで行い、量産は200mmウエハーで行うようなケースでも1台の装置で対応することができる」(説明員)と話す。画像処理技術やステージ精度の向上、電子線制御技術の高精度化により、レシピによる自動計測を実現し、スループットも向上した。
現在の主流は300mmウエハーに対応した装置だが、同社は150mm/200mmウエハー対応の測長SEMを中心に、1984年から2000年代初頭までに累計で約2300台を出荷した。「全世界で600の製造ラインに導入され、業界シェアは80%に達する」(説明員)と語る。こうした顧客からの要望もあり、既存装置である「S-6000/S-8000/S-9200シリーズ」との置き換えが容易な新製品を発売した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- V-LEDのサファイア基板剥離に固体レーザーを採用
ディスコは「SEMICON Japan 2015」において、垂直構造型LED(V-LED)チップの製造に適したフルオートマティックレーザーソー「DFL7560L」を展示した。レーザーリフトオフ(LLO)に固体レーザー技術を採用することで、高い加工品質やメンテナンス性を実現する。 - 独自低消費電力プロセスの40nm版、2017年量産へ
三重富士通セミコンダクターは2015年12月16〜18日の会期で開催されている展示会「WORLD OF IOT」(併催:SEMICON Japan2015)で、独自トランジスタ構造「DDC(Deeply Depleted Channel)トランジスタ」を使用した低消費電力CMOSプロセス技術に関する展示を実施。同技術を用いた40nmプロセスによる受託量産を2017年から開始する方針を明かした。 - 20μmピッチTSV、車載用測距センサーに適応へ
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2015年12月16〜18日の会期で東京ビッグサイトで開催されている「SEMICON Japan 2015」で、車載センサー向け3次元積層技術を展示した。 - IoTを原動力に復活狙う日本半導体産業――SEMICON Japan2015
マイクロエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan2015」が、2015年12月16〜18日の3日間、東京ビッグサイトで開催される。IoT向け半導体需要の拡大で注目を集めているのが200mmウェハーファブの有効活用である。日本半導体産業の復活に期待がかかる。