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2015年半導体業界再編を振り返る[下半期編]M&Aの嵐、まだ止む気配なし(2/4 ページ)

M&Aの嵐が吹き荒れた2015年の半導体業界。上半期に超大型買収劇が相次ぎ、M&Aの嵐は一段落するかと思いきや、下半期も止むことはなかった。2015年7月以降に起こった主な半導体業界の買収/合併劇を振り返っていこう。

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10月――東芝のパートナーが中国に!?

中国VeriSiliconが米Vivanteの買収を発表=買収額非公表

 中国の上海に拠点を置くカスタムLSI設計開発ベンダー VeriSiliconが、GPUなどのIPを手掛けるVivanteの全株式を取得すると発表した。両社の売り上げ規模を合算すると、2014年12月末で1億8000万米ドルを超えているという。

 買収元のVeriSiliconは、デジタルシグナルプロセッサやビデオコーデック、ミックスドシグナルIP、ファウンドリファウンデーションIPと、幅広いIPを手掛ける。ここに、GPUコアやビジョンイメージプロセッサといったVivanteのIPを加えることで、顧客基盤を拡大させ、自動車市場への参入を狙うという。

 なお、両社のCEO(最高経営責任者)は、兄弟ということで、「家族間で合意した買収か」との臆測もあるが、VeriSiliconのCEOであるWayne Dai氏は、「今回の合併については、われわれ兄弟が最初に言い出したことではないかと思われているかもしれない。しかし実際は、VeriSiliconの投資家たちが最近になって提案してきたことだ」と述べている。

Western DigitalがSanDiskの買収を発表=買収額190億米ドル

 2015年、2番目に大きな買収劇が10月に起こった。NAND型フラッシュメモリを手掛ける米SanDiskを、米HDDメーカーの米Western Digitalが約190億米ドルで買収すると発表したのだ。PCの需要低迷、SSDなどフラッシュメモリストレージの普及でWestern Digitalの主力であるHDD市場は冷え込みつつある。SanDiskを取り込むことで、現状を打破する狙いがある。買収完了予定は2016年第3四半期(7〜9月)。

 SanDiskは、NANDフラッシュの製造は、東芝と合弁を組み実施している。その東芝は、NANDフラッシュとともに、HDDも展開しており、Western Digitalは競合にあたる。不正会計問題、業績不振で財務体質が急速に悪化し苦しい状況の東芝は、貴重な利益源であるNANDフラッシュの重要なパートナーを競合に取り込まれることで、新たなリスクを抱えることになった。なお、Western Digitalは、米メモリメーカーのMicron Technologyに買収を持ち掛けたこともある中国の半導体メーカーTsinghua UniGroupの関連会社が筆頭株主であり、東芝/SanDisk連合が築いてきた技術の中国への流出も懸念されている。

ソニーが東芝イメージセンサー事業買収を発表=買収額190億円


東芝 大分工場 (東芝のWebサイトより引用)

 イメージセンサーの増産投資を続けるソニーが、東芝のイメージセンサー事業とイメージセンサーの製造拠点である東芝大分工場300mmウエハーラインを買収すると発表した。買収額は190億円。買収完了予定は、2016年3月期中で、東芝側の従業員約1100人もソニーへ転籍する予定だ。

 イメージセンサー世界首位を走るソニーは2015年4月に、2015年度〜2016年度の2年間だけで約1500億円を投資し、イメージセンサーの増産を行う計画を発表。それに上乗せする形で、東芝のイメージセンサー事業を買収する形だ。

 一方の東芝は、フラッシュメモリを除く赤字体質を拭いきれない半導体事業の構造改革に着手。イメージセンサー事業の譲渡もその一環で、他にも白色LED事業からの撤退なども決めている。

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