2015年半導体業界再編を振り返る[下半期編]:M&Aの嵐、まだ止む気配なし(4/4 ページ)
M&Aの嵐が吹き荒れた2015年の半導体業界。上半期に超大型買収劇が相次ぎ、M&Aの嵐は一段落するかと思いきや、下半期も止むことはなかった。2015年7月以降に起こった主な半導体業界の買収/合併劇を振り返っていこう。
迎える2016年――再編は続くのか
ここまで、2015年に発表、完了した主な半導体業界の買収/合併案件を振り返ってきた。これらの案件の取引総額は1100億米ドル超。過去10年間の取引総額さえも上回っており、いかに劇的な変化が2015年に起こったかがうかがえる。
半導体業界は、“シリコンサイクル”と呼ばれた急激な需給変化の繰り返しに別れを告げるなど、成熟化してきている。PC、携帯電話機/スマートフォンといった大量に半導体を消費するキラーアプリケーションとともに成長できた産業構造が、IoT(モノのインターネット)に象徴されるように、より広い範囲のさまざまなアプリケーションを相手にビジネスを展開しなければ成長できない構造へと変化しつつある。そのため、広範な製品ポートフォリオをそろえることが重要になり、昨今の再編劇の引き金となっている。
さらに、半導体製品の開発費は高止まりしていることも再編の一因だ。多額の開発費を回収するには、売価を維持する必要がある。それを実現するための近道が、買収で市場シェアを高め、価格決定の主導権を握ることというわけだ。
こうした流れは、2016年も続くことになる。100億米ドルを超えるような大型買収劇こそ2016年は減るだろうが、業界再編の嵐が急に止むとは考えにくいだろう。実際、再編話のうわさは複数ある。うわさが次々と現実になる様子を目の当たりにしてきたここ1年の経験からして、今、うわさされている再編話のいくつかは現実のものになるだろう。
さらに、2015年に発表された買収案件のほとんどは、2016年に成立する。合併/買収成立後には、シナジーが見込めない事業の“リストラ”が少なからず実施される。そうしたリストラ対象事業を巡っての動きが、2016年は活発になるに違いない。
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