レビュー
コンデンサを進化させる意外な新材料とは?:クイズで振り返る2015年エレクトロニクス業界(2/2 ページ)
2015年のエレクトロニクス業界のニュースを“クイズ”で振り返る年末企画! 今回は、コンデンサを進化させる可能性のある意外な材料についてです。
答えと解説
正解は「A. リンゴの木」
正解は、『A. リンゴの木』でした。
国内最大のリンゴ生産地である青森県では、リンゴの剪定(せんてい)枝が年間約10トン発生するそうです。この大量の剪定枝を有効活用すべく、青森県産業技術センター(以下、青森産技)では、空気清浄機用脱臭フィルターなど向けに、リンゴの剪定枝を活性炭へ加工する技術の確立に取り組んでいました。その中で、リンゴの枝由来の活性炭は、現行のコンデンサに用いる活性炭と比べて同等の比表面積があり、メソ孔(細孔)については1.4倍大きい容積を持つことを確認したそうです。
細孔が大きいと、細孔を通過する電解液中のイオン移動速度が速まるため、リンゴの枝由来の活性炭が、現行活性炭を上回る性能のコンデンサーを実現できるわけです。
青森県に生産拠点を持つエルナーでは、青森産技と共同でリンゴの枝由来の活性炭を電極材に用いたコンデンサーの量産に向けた開発を進めることを決定。すでにリンゴの枝由来の活性炭を用いたコイン型電気二重層コンデンサを試作し、従来の活性炭を用いたコンデンサと比べて、静電容量、等価直列抵抗(ESR)でほぼ同等の性能を実現できることを確認したとしています。
*)関連記事:“リンゴの木”からコンデンサ! 量産目指し本格研究に着手
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “リンゴの木”からコンデンサ! 量産目指し本格研究に着手
エルナーは2015年7月、リンゴの枝から作る活性炭を電極材料に使ったコンデンサの高機能化とその量産に向けた研究を実施すると発表した。 - アルミ電解コンデンサと同等性能で体積は1000分の1! 超小型のカーボンナノチューブ応用キャパシタ
産業技術総合研究所のナノチューブ実用化研究センターは、電極材料に単層カーボンナノチューブ(CNT)を利用した超小型のキャパシタを開発したと発表した。アルミ電解コンデンサと同等の性能を持ちながら体積は1000分の1になるという。 - 産学官連携で挑むCNT、ついに量産工場が稼働へ
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、日本ゼオンがスーパーグロース法を用いたカーボンナノチューブ(CNT)の量産工場(山口県周南市)を稼働させたと発表した。 - 第1部 動向、なぜキャパシタなのか
キャパシタは電池とは異なる原理で電気エネルギーを蓄積する。電池に比べて寿命が長く、使用環境の制限が少ない。大容量キャパシタの用途は今後3種類に分かれる。まず、瞬間的に大電力が必要な用途、次に、二次電池と大容量キャパシタを組み合わせてそれぞれの欠点を補い合う用途、最後に二次電池の代替だ。