ルネサス横田氏が語る、Synergy/R-INの未来:成果が出るのは2017年以降?(3/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは2015年12月、プライベート展「Renesas DevCon Japan 2015」を開催した。同イベント会場で、売上高の約60%を占める汎用事業を統括する執行役員常務の横田善和氏に、これからの成長戦略などについてインタビューを行った。
R-INエンジンだけで機械学習も可能に?
EETJ ルネサスの那珂工場(茨城県ひたちなか市)でR-INエンジンに人工知能を組み合わせたシステムの実証実験が行われたとのことでしたが、工場や産業機器に人工知能を搭載することへの現場の抵抗感みたいなものはなかったのでしょうか?
横田氏 人間と人工知能は共生していくといった言葉がはやっているように、現場の抵抗感はないと思う。那珂工場の実証実験では、エッジデバイス側で大量のデータから不具合や不良品の判断を行った。人間が分析すると、不具合の約20%しか検出できない。しかし、同システムは従来より6倍の精度の高い良否判定が可能になったのだ。今まで見逃していた80%が見えるようになるから、スループット/品質/歩留まりが飛躍的にあがる。そういう面で人工知能に対する抵抗感はないと考えている。
EETJ R-INエンジンと人工知能の今後の展開はどのように考えていますか?
横田氏 今後は前工程だけでなく後工程にも展開し、実証事例を積み上げていきたいと思っている。また、現在は人工知能の機械学習にPCで行っているが、プロセッサの性能を上げることで学習もR-INエンジンでできるようになるのだ。PCの力を借りなくとも、機械学習をしながらデータの処理ができる時代が数年先にやってくるだろう。
EETJ 最後に汎用事業として、今後の抱負を聞かせてください。
横田氏 ルネサスは組み込み系を得意としているメーカーであるが、リアルタイム性を必要としている産業機器やネットワーク機器、ホームオートメーション、得意分野でもあるロボット制御機器などに対して、当社は良い技術を提供できると思っている。これからも、このリアルタイム性を追求することで顧客の期待に応えていきたい。
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