ルネサスとTTTech、開発プラットフォームで協業:自動運転ECU向け、高い処理性能と安全性を両立
ルネサス エレクトロニクスとTTTechは、車両の自動運転システム用ECU(Electronic Control Unit)の開発プラットフォームに関して協業を始めた。
ルネサス エレクトロニクスとTTTechは2016年1月、車両の自動運転システム用ECU(Electronic Control Unit)の開発プラットフォームに関して協業することを発表した。自動運転システムの機能に求められる柔軟性と拡張性を確保しつつ、高い処理性能と安全性の両立を可能とする。
協業により実現していく開発プラットフォームは、ルネサス製の車載制御用マイコン「RH850/P1x」及び車載情報システム向けSoC「R-Car」に、TTTech製の先進運転支援システム(ADAS)向けソフトウェアプラットフォーム「TTIntegration」を統合した製品となる。
車両の自動運転を可能とするには、さまざまなセンサーデバイスを用いた高精度なセンシング技術やそのデータ処理技術、機能モジュールの高度な制御技術、システム全体での消費電力低減、機能安全への対応などが必要である。これらを実現していくためには、複数のサプライヤによる並行開発や、スムーズなシステム統合を可能とする開発プラットフォームの活用が有用となる。
そこでルネサスは、TTTechとの協業によりシステムの柔軟性と拡張性を保ちつつ、高い処理性能と安全性を両立させることができる自動運転システム用ECUの開発プラットフォームを用意し、提供していくことにした。汎用的な自動車向けオープンシステム「AUTOSAR」上での各種機能安全レベルを実現することも可能となっている。
TTTech製のTTIntegrationは、複数のCPUレベルで同期をとりながら、複数のアプリケーションを実行させることができる。システム上でデータを共有したり、アプリケーションごとにハードウェアの開発を行い、これらを統合したりすることもでき、柔軟なシステム構成を実現することが可能である。各種OSで稼働するAUTOSARが用意されており、開発済みのソフトウェア資産を有効に活用できなど、移植性にも優れている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “米国発”Synergyをお披露目、ADAS関連も
プライベートイベント「Renesas DevCon 2015」を米国で開催中のルネサス エレクトロニクス。2日目の10月13日(現地時間)に行われた基調講演では、2015年6月に発表されたIoT機器向け設計基盤「Renesas Synergyプラットフォーム」とADAS関連の技術が2本柱となった。 - ルネサス、鶴岡工場をTDKに譲渡へ
TDKとルネサス エレクトロニクスは2015年11月30日、ルネサス鶴岡工場(山形県鶴岡市)をTDKに譲渡する内容で基本合意に至ったと発表した。 - 「半導体業界の“Apple”を目指す」ルネサス
ルネサス エレクトロニクスが米国で開催した「DevCon 2015」では、同社の設計基盤「Renesas Synergyプラットフォーム」が大きなテーマの1つとなっていた。Renesas Electronics Americaでプレジデントを務めるAli Sebt氏は、「Synergyで半導体業界の”Apple”を目指したい」と述べる。 - ルネサス、車載向け90nm BCDプロセス量産を発表
ルネサス エレクトロニクスは、アナログとロジック回路を混載できる最小加工寸法90nmのBCDプロセスで車載向けデバイスの量産を開始したと発表した。同プロセスを武器に、欧州の競合に後じんを拝している車載向けアナログ/パワーデバイス領域でのシェア拡大を目指す。