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スマホ台頭の陰で地位を失った“日の丸半導体”この10年で起こったこと、次の10年で起こること(1)(3/3 ページ)

これから10年先の半導体業界はどうなっているのだろうか――。過去10年に起こった半導体業界の変化を、スマートフォンやテレビといったキラーアプリケーションの解剖を通じて探りながら、次の10年のトレンドを連載で探っていく。第1回は、日本の半導体メーカーが世界市場でどのように地位を失っていったのか、その過程を見ていく。

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2極化進むスマホ用チップセット

 図3はFirefox OSを用いた2014年の中国ZTEのスマートフォンである。スマートフォンは現在では、ハイエンドとローエンドの2極化が進んでいる。


図3 2014年に発売された中国ZTE製Firefox OS搭載低価格スマートフォンとその搭載ボード/チップ (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 2014年1月の展示会「International CES」でMozillaが発表したFirefox OSのスマートフォンは25米ドル。図3の端末は米国で発売された60米ドルの製品である。

 昨今は日本国内でも多くの「格安スマホ」が販売され、回線を持たないMVNO(仮想移動体通信事業者)から多くのサービスが提供されている。国内MVNOの端末はローエンドまたはミドルエンド機種が多いが、ヘビーユーザーでなければ問題はなく使用できる端末として市場に受け入れられた。

 Qualcommは、上位、下位、中位など幅広い種類のプラットフォームを一気に形成した。下位機種でもチップセットでの供給とAndroid対応を確実にこなしている。上位から800/600/400/200と4つのファミリーを要し、ハイエンドは800、ミッドハイは600、ミドルは400、ローエンドは200と使い分けた。

 “自前から共通プラットフォームへ”という市場変化はテレビや多くのガジェットでも2000年代後半から現在にかけて進んできた。

 次回は出遅れたMediaTekがどのようにQualcommをキャッチアップしたかを半導体の観点から紹介していく。

<第2回へ>

筆者Profile

清水洋治(しみず ひろはる)/技術コンサルタント

 ルネサス エレクトロニクスや米国のスタートアップなど半導体メーカーにて 2015年まで30年間にわたって半導体開発やマーケット活動に従事した。さまざまな応用の中で求められる半導体について、豊富な知見と経験を持っている。2015年から、半導体、基板および、それらを搭載する電気製品、工業製品、装置類などの調査・解析、修復・再生などを手掛けるテカナリエの上席アナリスト。テカナリエは設計コンサルタントや人材育成なども行っている。


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