NXP、マイコンに28nm FD-SOIプロセスを採用へ:「i.MX8/i.MX9」にも
NXP Semiconductorsは、同社のLPCマイコンに28nm FD-SOIを適用すると発表した。FD-SOIは、Freescale Semiconductorがプロセッサ「i.MX」シリーズに採用を決めていたものだ。
NXP Semiconductorsは、28nm FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)プロセス技術を、同社の「LPCマイコン」に適用する計画を発表した。同計画は、Freescale Semiconductorとの合併後に、NXP MCU事業部門のゼネラルマネジャーに就任したGeoff Lees氏が率いる。
Lees氏はあるイベントで、「NXPはFreescaleとの合併によって事業規模を拡大し、民生/産業/医療/自動車などさまざまな分野の垂直統合型アプリケーションを手掛ける。IoT(モノのインターネット)向けプロセッサやセキュリティ、ソフトウェアを提供するにふさわしい企業だと確信している」と語っていた。
同社の意気込みは、展示デモ用の移動トラックにも表れている。NXPは、2016年2月23〜25日にドイツのニュルンベルクで開催される組み込み技術展「Embedded World 2016」までの期間、このトラックで欧州のイベントを回って、自社製品をアピールする計画だ。
Lees氏は、NXPでマイコン事業の構築やARMの「Cortex-M」コアの初期導入に尽力した後、2012年にFreescaleに移籍しマイコン事業を担当した。Freescaleでは、高次ネットワークや通信、「i.MX」シリーズのマルチメディアプロセッサなどを担当し、Samsung Electronicsの28nm FD-SOIプロセス技術の導入の決定を下した。
i.MX8/i.MX9にもFD-SOIを導入
NXPとFreescaleの合併後、Lees氏は新生NXPでFD-SOIの導入を熱心に進めてきた。
Freescaleは「i.MX6」シリーズを40nmのプレーナ型バルクCMOSで製造していたが、「i.MX7」シリーズに28nm FD-SOIプロセス技術を適用することはNXPとの合併前に決定していた。
Lees氏は、「『i.MX8』と『i.MX9』シリーズもFD-SOIプロセス技術で製造する計画だ。もちろん、これら2つのシリーズでは性能の向上を進める。i.MX8は、『Cortex-5x』コアと『ARMv8』アーキテクチャがベースになる予定だ」と述べている。同氏は、「IoTアプリケーションは負荷が小さくローエンド性能でも事足りるが、それだけにエネルギー効率と低コストは必須条件だ。FD-SOIはこうした用途で真価を発揮する」と説明した。
Lees氏は、NXPのLPCマイコン(Cortex-MをベースとしたMCU)事業を担当し、28nm FD-SOIの適用を進めていく。同氏は、「28nm FD-SOIは、製造工程がシンプルな最新プロセス技術だ。耐久性に優れ動作が安定しているので、コストの低減を図れる」と主張している。
同氏は、マイコンにFD-SOIの適用を進める理由の1つとして、アナログ機能のサポートに優れている点を挙げている。IoTアプリケーション/マイコンに使われるチップは、一般的にミックスドシグナルデバイスである。「FD-SOIが、性能および安全性の点で、IoT向けハードウェアの製造に適していることは、既に28nmプロセスで証明されている。28nmのバルクCMOSに比べて、温度制御やリーク電流の点で優れている」(同氏)。Lee氏は、「全てのマイコンベンダーは、FD-SOIに移行するのではないかと考えている」と付け加えた。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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