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ルネサス 90nm BCDプロセス混載可能なフラッシュ:次世代車載マイコンに適用へ(3/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは2016年2月3日、90nm世代のBCDプロセスに混載可能なフラッシュメモリ技術を開発したと発表した。豊富なアナログ/パワー回路を備えたBCDプロセス採用マイコンにフラッシュメモリを搭載できるようになる。
消費電力を99%削減
こうした2つの信頼性向上技術に加え、低消費電力化に向けて、フラッシュメモリ自身で書き換え制御を行う回路「IPEMU*)」技術も試作チップに盛り込んだ。
*)IPEMU:Idling P/E Manegement Unit
BCDプロセス採用デバイスの主な用途である自動車では、アイドリングストップ時などに、フラッシュメモリの書き換えのみを行うというケースが多くある。ただ、フラッシュメモリの書き換えを行う場合でも、フラッシュメモリとともに、メモリ制御を行うCPUやRAMを起動させておく必要があった。
フラッシュメモリ自身で書き換え制御を行うことで、CPUからフラッシュメモリ側に書き換え命令があった後は、CPU/RAMへの電源供給を落とすことができるようになり、システムレベルでの消費電力を大幅に削減できるとする。試作チップによる検証を行った結果、「従来の外付けEEPROMを使ったシステムよりも、アイドリング時のフラッシュ書き換えに要する消費電力を99%削減できた」としている。
「2018〜2019年に量産」
ルネサスは、これら高信頼/低消費電力技術を盛り込んだフラッシュメモリを90nm BCDプロセス採用車載向けデバイスへ適用していく方針で「2018〜2019年に量産されるデバイスへの適用を目指したい」としている。
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