TSMCとUMC、地震による影響を評価中:影響は1%との見積もりも
TSMCとUMCが、2016年2月6日に台湾南部で発生した地震による影響を評価中だという。両社とも深刻な被害を受けた工場はないとしている。
台湾のファウンドリ大手のTSMCとUMCは現在、2016年2月6日に台湾南部を襲ったマグニチュード6.4の地震による影響を評価している。
両社は操業のほとんどを2〜3日中に復旧できる見込みだと発表した。また、TSMCによると、2016年第1四半期の生産のうち、地震による影響を受けるのはわずか1%にすぎないという。
TSMCのコーポレートコミュニケーション部でディレクタを務めるElizabeth Sun氏と、UMCのスポークスマンであるRichard Yu氏は、EE Timesとの電話インタビューの中で、今回のように大きなマグニチュードの地震が起きた場合、振動による影響を受けた地域にある工場は、自動的に操業を停止し、従業員を退避させるようになっていると述べた。
世界の半導体のうち3分の1近くが台湾で製造されている。1999年9月21日に台湾でマグニチュード7.3を超える地震が起きた際には、大規模な停電が発生し、半導体の生産は1週間近く縮小された。台湾は「環太平洋火山帯」として知られる地震多発地域に位置している。
Sun氏によると、TSMCが工業団地「Southern Taiwan Science Park」に置く2棟の工場の全従業員は、地震発生から数時間後の午前6時30分には職場に戻ったという。また、UMCのYu氏は、同社の全従業員が無事であると述べた。
半導体メーカーの操業への影響はSouthern Taiwan Science Parkに限られた。同工業団地にはTSMCの「Fab 14」と「Fab 6」がある他、UMCの「Fab 12a」が稼働している。工場の建屋や装置は物質的な被害を受けなかった。
2社によると、地震直後にウエハーの生産は一時停止されたが、その時生産中だったウエハーの大部分がダメージを受けた可能性が極めて高いという。TSMCは台湾北部の新竹市にある製造施設のエンジニアを台南市の工場に派遣し、復興をサポートする方針だ。Sun氏によると、TSMCは情報が手に入り次第、影響を受けたウエハーについて顧客に知らせるという。
GLOBALFOUNDRIESやSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corp.)など台湾勢の競合は台湾以外に拠点を置いているが、その理由の1つとして、地震や台風、停電が起こりやすい台湾で製造するリスクに対する懸念を和らげることがあるという。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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