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シャープが鴻海を選んだ理由と4800億円の投資先シャープ約4800億円で鴻海傘下に(2/2 ページ)

シャープは2016年2月25日、臨時の取締役会を開いて鴻海から提案を受けていた支援策を受け入れることを決め、鴻海グループを割当先とする第三者割当増資を実施すると発表した。鴻海グループから調達する約4800億円の使途なども公表した。

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4800億円の使い道

 第三者割当増資で調達する約4843億円(手取額)の使途については、各事業の成長に向けた設備投資などに4170億円を、ブランド価値向上/新規事業運転資金に373億円、普通社債償還資金に300億円を充当するとしている。

 各事業の成長に向けた投資の内訳と主な内容は次の通り。


ディスプレイデバイス事業/有機ELディスプレイ領域=投資額2000億円

 2017年中ごろまでを目標にOLED(有機EL)ディスプレイの試作ラインを立ち上げ、2018年初頭にも量産を開始できるよう取り組む。2019年までに68.5mm×121.5mmサイズの5.5型パネルを月間約1000万枚生産。「年間5.5型パネル約9000万枚相当のスマートフォン向けOLEDディスプレイを生産し、年間2600億円の売上高を目標にする」(シャープ)。

 研究開発ライン、パイロットライン、量産ラインは、亀山工場(三重県亀山市)に設ける計画で、研究開発ラインに280億円、パイロットラインに480億円、量産ラインに1240億円を投じる見込み。年次の投資額としては、2016年50億円、2017年750億円、2018年1000億円、2019年200億円を計画している。


ディスプレイデバイス事業/中型液晶ディスプレイ領域=投資額1000億円

 中型液晶領域において、主として高精細の製品開発・増産のための技術開発投資・設備投資、歩留りの改善(不良品率の低下)のための技術開発投資・設備投資を実施する。

 亀山工場における高精細中型液晶生産能力の増強に向けたカラーフィルター工程装置の増強その他プロセス装置の改造、三重工場における新規プロセス導入に向けたスパッタ装置の改造など、さらには中国工場における後半工程効率化投資などに対し500億円を充てる。残りの500億円は、フリーフォームディスプレイ(FFD)を中心とした高付加価値アプリの創出に向けた技術開発投資や量産化に向けた後半実装工程設備の導入、高精細モデル向けを中心としたフォトマスク投資などや合理化/更新投資などに投じる。


コンシューマーエレクトロニクス事業=投資額450億円

 人工知能(AI)とモノのインターネット(IoT)化を組み合わせた「AIoT」機能を搭載したコミュニケーションロボット、液晶テレビ、調理家電等における新規商品創出に向けて100億円の研究開発投資・金型投資を実施。白物家電を中心とした新興国向けローカルフィット商品ラインアップ強化・拡充に向けた金型投資に100億円を充てる。

 また、安定的な収益体質を確保するための国内、中国、アジア各工場における既存設備の合理化・更新投資などに250億円を投じて、「今後長期にわたって当社の主力事業として安定的な収益を生み出す事業体への変革を図っていく」(シャープ)。


エネルギーソリューション事業=投資額100億円

 福島復興地域における独立発電事業(IPP)案件を中心とした投資支出などに50億円、住宅用エネルギーソリューション事業の強化に向けたHEMS開発用ソフトウェア投資支出などに50億円を投資する。「太陽光発電モジュール販売を中心とした既存事業からエネルギーソリューションを核とした新たな事業体への変革を進めていく」(シャープ)とする。


電子デバイス事業=投資額120億円

 スマートフォン向け・車載向けカメラモジュールなど新規事業分野などにおける新製品創出に向けた開発投資・金型支出に70億円。カラー暗視カメラ(暗闇の環境下でカラー撮影が可能な監視用赤外線カメラ)など独自特長技術を搭載したデバイス製品群における開発投資、金型投資、量産設備の導入にかかる支出に30億円。福山工場、インドネシア工場における生産効率の改善に向けた既存設備の合理化・更新投資に20億円を充てる。


ビジネスソリューション事業=投資額500億円

 北米・欧州における収益基盤の拡大・安定化に向けたデジタル複合機(MFP)販路拡大投資に250億円。ロボティクス・電子看板用ディスプレイを核としたソリューション事業における新規商品創出に向けた開発用ソフトウェア投資・金型支出に100億円。国内・中国など既存工場における生産効率の改善に向けた生産ラインの自動化/省人化設備などの合理化・更新投資に150億円を充てる。

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