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長期耐熱用途にも銅ワイヤが使える封止材車載/産業機械用半導体など

パナソニックは、硫黄無添加(硫黄フリー)の銅ワイヤボンディング対応封止材を開発した。

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 パナソニックは2016年3月3日、銅ワイヤボンディング対応の硫黄フリー封止材を製品化したと発表した。高温下で銅ワイヤを腐食させる硫黄成分を含まないことで、車載や産業機器用途など高温下で使用される半導体にも銅ワイヤが適用できるようになる。2016年10月から量産を実施する。


銅ワイヤ対応硫黄フリー封止材とその採用イメージ 出典:パナソニック

 半導体パッケージのボンディングワイヤとして、金に代わって銅を用いる動きが広がっている。銅は、金に比べ高温環境下での接合信頼性が高く、市場価格も安定していることなどがその要因だ。

 これまでの銅ワイヤに対応した封止材には、耐リフロー性などリードフレームとの密着力を高める硫黄成分が添加されてきた。ただ、175℃以上の高温環境になると、封止材の硫黄成分が熱分解して硫黄ガスが生じるという課題があった。硫黄ガスは銅ワイヤを腐食させ、その結果、ワイヤに孔やクラックが生じ接続不良の原因になった。

従来以上の耐熱性も

 今回、パナソニックは硫黄成分無添加(硫黄フリー)と樹脂システムの改質技術を開発することで、高い密着力のある封止材を実現。硫黄フリーとともに、「従来以上の耐熱性を達成し、銅ワイヤで175℃環境下3000時間後、導通不良発生のない信頼性を実現した」(パナソニック)とする。


開発した硫黄フリー封止材(左)と従来材(右)のワイヤ断面写真 出典:パナソニック

 信頼性については、耐リフロー性試験(JEDEC準拠MSL Level3)、温度サイクル試験(−65℃⇔150℃)や非バイアス高度加速ストレス試験(UHAST)などに合格。これら試験に合格した硫黄フリー封止材は「業界初」(パナソニック)としている。

開発した硫黄フリー封止材の基本仕様
項目 硫黄フリー封止材 従来封止材
硫黄成分添加
耐リフロー性 28□LQFP Level 3 合格 Level 3 合格
温度サイクル試験 −65℃⇔150℃ 2000サイクル達成 2000サイクル達成
高温保持試験 175℃ 3000時間 達成 1000時間 未達成
UHAST※) 130℃/85%RH 2000時間 達成 2000時間 未達成
※)バイアス無 高度加速ストレス試験 / 出典:パナソニック

 パナソニックは、「これまで困難であった高温動作時の長寿命化と信頼性の向上を実現した。長期耐熱性が要求されるECU(電子制御ユニット)などの車載用や、産業用半導体パッケージの銅ワイヤ化に貢献する」とコメントしている。

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