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仮想記憶(仮想メモリ)の基礎:福田昭のデバイス通信 ARMが語る、最先端メモリに対する期待(9)(2/2 ページ)
今回は、仮想メモリの仕組みを詳しく解説していこう。仮想メモリの概要と、これを採用したシステムについて見てみたい。
仮想メモリを採用したシステムの実行環境
仮想メモリを採用したシステムの例を示そう。複数のゲストOSの上で複数のアプリケーション・プログラムが動くシステムである。階層化された実行環境を図示する。
ゲストOSの下層には、管理プログラムである「仮想マシンモニター(VMM:Virtual Machine Monitor)」あるいは「ハイパーバイザー」が存在しており、複数のゲストOSを切り替えて動作させる。
ゲストOSが利用する仮想アドレスは、物理アドレスの全てに対応している訳ではないのだが、ゲストOSはそのことを自覚していない。VMMは独自のページ・テーブルを備えることで、複数のゲストOSのアドレスが干渉しないように、各OSを物理アドレスに割り当てている。つまり、アドレスの変換は2段階になる。
最初の変換は、ゲストOSのページ・テーブルで実行する。仮想アドレスは物理アドレス(中間アドレス)に変換される。2回目の変換は、VMMのページ・テーブルで実行する。中間アドレスが物理アドレス(真の物理アドレス)に変換される。
(次回に続く)
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