GoogleやAppleは車載市場の“トリガー役”に:ルネサス欧州法人の車載部門責任者が語る(3/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは、ドイツ ニュルンベルクで開催された「embedded world 2016」で、IoT機器向けの設計基盤「Renesas Synergyプラットフォーム」に加え、車載向けや産業機器向けの製品も展示した。ルネサスの欧州法人Renesas Electronics Europeで車載部門、産業機器部門を統括するそれぞれのバイスプレジデントに、各市場の動向などを聞いた。
車載半導体開発の“DNA”
欧州の車載半導体市場には、ルネサスの他にも、Infineon TechnologiesやNXP Semiconductorsなど強豪がひしめいている。特にNXPは、2015年12月にFreescale Semiconductorの買収が完了したことで、車載半導体分野のシェアでトップを維持していたルネサスを抜いた。こうした競合の存在についてElsner氏は、「もちろん首位に戻りたいが、競合他社によって気持ちを引き締めることができる。われわれがすべきことは、常に最適な製品を開発することだ」と述べた。「製品を購入するかどうかを最終的に判断するのは顧客だ。ルネサスには、車載半導体を開発できる“DNA”がある。われわれは、顧客にとって最適な製品を提供できるメーカーであり続けたい」(同氏)。なお、ルネサスが2014年に出荷した車載マイコンは8億8600万個に上り、世界シェアは38%となっている。
Synergyと、産業向けマイコンを適材適所に
REEのIndustrial & Communications Business GroupでVice Presidentを務めるMichael Hannawald氏は、産業機器分野では、FA(ファクトリーオートメーション)などに代表されるインダストリー4.0が、やはり最大のトレンドだと語る。
REEでは、Industrial & Communications Business GroupがSynergy関連の事業を行っている。Synergyのターゲット市場の1つはFAだが、Hannawald氏は「FAの世界では数多くの独自規格バスが使われていて、Synergyは、まだこれらをサポートしていない」と述べ、現時点ではSynergyの価値は、もっと汎用的なIoT機器の開発に生きるのではないかという見解を示した。同氏は「Synergyは、IoTという水平市場で価値を提供できるプラットフォームだ。垂直市場で考えた場合、例えばFA向けには(イーサネットアクセラレータである)『R-INエンジン』や、(高速なリアルタイム処理が可能なマイコン)『RZ/T』などがやはり必要になってくる」と述べ、RZや「RX」「RL」を含む、産業機器向けのマイコンファミリーとSynergyを適材適所に提供していくことが重要だと話した。


なお、Hannawald氏は、2016年4月1日付でREEのプレジデントに就任する。Hannawald氏は、1990年にREEの前身となるNEC欧州法人半導体部門に入社して以来、25年にわたり、ASICやマイコンの設計、車載マイコンのマーケティングなどの業務に携わってきた。現在の地位に就任したのは、2015年8月である。同氏は「REEの具体的な戦略などについては今は話せないが、プレジデントというやりがいのある役職に就くのを楽しみにしている」と語った。
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