今こそ問いたい――そのダイエット、本当に必要ですか:世界を「数字」で回してみよう ダイエット(28)(8/10 ページ)
ダイエットシリーズも、いよいよ最終回です。今回は、私が、150日にわたりダイエットを行った結果として得たメリットとデメリットを紹介します。結局のところ、私たちは「ダイエットに失敗する」という運命から逃れられないのかもしれません。それでも、ダイエットに関する情報は日々氾濫し、その市場が縮小することはないように思われます。だからこそ、こう問いかけたいのです。「そのダイエットは、本当に必要ですか?」と――。
メリットとデメリットを比較してみる
まずメリットから並べてみます。
(1)ダイエットの緻密なデータ収集と、実体験と、仮説検証を完了できた
これらは全て、この連載の中で十分に利用することができました。そして、私のエンジニアとしての仮説「人間の身体は制御システムであり、体重は物理法則だけでコントロール可能である」の検証を行うことができました。
ひとことで言えば、「『食えば太り、食わねば痩せる』を定量的に確認した」ということです。
(2)世の中のダイエット本の著者と論争できるという自信がついた
なにしろ、私は理論とデータの両方を、この手に持っているのです。私の立てた仮説に対するどんな反論に対しても、100%論破できる自信があります。
(3)体が軽くなった
以前、子どもを助けるためにダッシュしたら、肉離れした(参考ブログ)という間抜け事故を起こしたことがあるのですが、今は普通に走れるようになり、同じ事故の発生の確率は低くなったように思います。長時間の歩行や電車通勤も本当にラクになりました。また、腹のぜい肉の窮屈感がなくなって、机にうつぶして昼寝をするのがラクになりました。
(4)20年前の服が着られるようになった
これは、20年も服を保存しておいた、「収納に対する嫁さんの執念」の方に感服しています。
でも、結局はそれだけのことです。
私が、女性にモテるようになったという事実は、全く確認されていません。
「嫁萌え」した私とは逆に、嫁さんは「痩せすぎて気持ち悪い」と言っています。
娘たちは、自分の父親が、アホな人体実験で倒れて、経済的損失(進路の選択の幅が狭くなるなど)が発生しないかを、露骨に心配しているありさまです。
会社では、後輩達に加えて、上長すらも私の側に近寄らなくなった様な気がします(後述)。
では、この流れで「デメリット」の方も語ってみましょう。
(1)強烈な不眠症
そもそも私は不眠症気味なのですが、ダイエットの開始と同時に、十分な睡眠時間が取れなくなりました。早朝に目が覚めたら、精神安定剤やウイスキーで、自分を無理やり自分を寝かしつける、ということをやっていました。
(2)激烈な筋肉痛
ダイエットはぜい肉だけでなく、筋肉も削っていきます。私の場合は、尻の筋肉が削り取られて、椅子に座っても痛みを感じるようになりました。
決定的だったのは歩行です。踵の骨が道路のアスファルトと擦れるような痛みに耐えながら、出社しなければならなくなりました。
(3)歩行障害の多発、バランスの欠如
平行感覚を失い、歩道のガードレールにぶつかったり、溝に落ちそうになったりしました。自分が明確に真っすぐに歩いている意識があるのに、方向が変わっていくのを認識した時は、本当に怖かったです。
また、物をよく落すようになりました。「モノをつかもうとしたら、空(くう)を握っていた」時には、恐怖で震えました。
(4)老眼の著しい進行、めまい
毎日視力が変動するようになりました。疲労の激しい日は、どこを見ても文字が滲んで見えるようになりました。また、1〜2秒くらい時間が消える、という体験もしました。
(5)猛烈な倦怠感、暴力的な睡魔
体の細胞が鉛に変化したのではないかと思うくらい、体が動かなくなりました。また、睡魔で意識がもうろうとなり、仕事にならなくなるため、(食欲がないのに)チョコレートやようかんを摂取するという緊急対処もしました。
(6)いわゆる「ダイエットハイ」の発生
1日平均4時間くらいの睡眠でも、10時間くらいぶっ続けで、PCの前でプログラムのコーディングをすることができる状態になりました。いわゆる、この状態です。
(7)異様なオーラの放出
私は意識していないのですが、ダイエット中に歩いていると、人の集団が割れて、真ん中に私の道ができる ―― 旧約聖書の「出エジプト期」―― を、地で行く現象が見られました。
(8)その他、性欲の減退、人の意見が聞かなくなった、などについては、こちらをご覧ください(「ダイエットで脳が壊れる? 危険な“負の連鎖”」)。
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