半導体工場、余震で被害確認が難航――熊本地震:ルネサス、ソニー、三菱電機
2016年4月14日夜の地震発生後から、熊本地区の半導体工場は稼働を停止し、被害状況の確認作業を進めているが、度重なる地震発生で、作業が難航している。
2016年4月14日夜にマグニチュード6.5の前震、同16日未明にマグニュチュード7.3の本震が襲った熊本、大分を中心とした九州地区に生産拠点を持つ半導体メーカー各社は、被害状況の確認を急ぐものの、断続的に続く余震の影響を受け、作業が難航している。
生産部品の一部破損が拡大
ルネサス エレクトロニクスは、熊本市南区にある川尻工場が被災し、緊急対策本部を本社内に設置し、「継続して情報の収集と対応、対策の検討を進めている」(同社)。川尻工場では、設備部品の石英ガラスなど一部に破損があり、「16日未明の本震による被害の拡大が確認された」という。ただ、生産設備全体の被害状況は確認中であり、生産再開時期などは未定だ。
なお、ルネサスは2016年4月18日14時に最新状況をWebサイトで公表。「同月17日からクリーンルーム内の安全確認ができ、調査を開始することができた。現在、設備の具体的な状況を確認中。生産再開の見込みにつきましては、設備全体の確認でき次第、決定し速やかにお知らせする」としている。
また同社では、「16日の本震により、一部の製造委託先において被害の拡大が確認された」とし、「サプライチェーン全体の復旧には、部材や製造委託先の復旧も同時期に必要となるため、状況を確認し、サプライヤー、協力会社などと協力して復旧に当たる」とのコメントを発表している。
長崎、大分は通常操業再開
ソニーは16日未明の揺れを受け、14日夜の地震後、稼働を停止していた熊本テクノロジーセンター(熊本県菊池郡菊陽町)に加え、長崎テクノロジーセンター(長崎県諫早市)、大分テクノロジーセンター(大分市)の稼働を一時停止した。その後、17日夕方に長崎、大分テクノロジーセンターに関しては、安全確認がとれ、通常操業を再開している。熊本テクノロジーセンターについては、外観などに大きな被害などは確認されていないが、生産設備などの被害状況は確認中。「余震が続いており、確認作業も断続的に実施している状況」(広報担当者)とし、余震のために難航している。
復旧作業着手も本震で中断、再度確認中
三菱電機は14日夜の揺れ直後から操業を停止しているパワーデバイス製作所熊本工場(熊本県合志市)での被害確認作業を継続している。15日夜から復旧作業に着手したが、16日未明の大きな地震を受けて、作業を中断。建屋の倒壊などはない状況だが、再度、余震の合間を縫って、一部管理職が設備の被害確認作業を実施している状況が続く。「工場の操業再開時期や代替生産などの対応策については、安全確認及び設備への影響を確認した上で決定する」(広報担当者)。なお、熊本県菊池市にある液晶事業統括部の液晶モジュール工場についても、状況はパワーデバイス工場と同様だ。
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2016年4月14日夜に発生した熊本県を震源地とする大きな地震の発生を受け、熊本県内に製造拠点を持つルネサス エレクトロニクスなどの半導体メーカーでは翌15日朝から、被害状況の確認を急いでいる。