熊本地震、半導体各社が工場の被害確認急ぐ:ルネサス、ソニー、三菱
2016年4月14日夜に発生した熊本県を震源地とする大きな地震の発生を受け、熊本県内に製造拠点を持つルネサス エレクトロニクスなどの半導体メーカーでは翌15日朝から、被害状況の確認を急いでいる。
2016年4月14日夜に発生した熊本県を震源地とする大きな地震の発生を受け、熊本県内に製造拠点を持つ半導体メーカーでは翌15日朝から、被害状況の確認を急いでいる。
地震直後から稼働停止し、安全確保
ルネサス エレクトロニクスは、震度6弱の揺れを観測した熊本市南区にある川尻工場で、地震直後から稼働を停止し、15日朝現在、被害状況を確認中で、「状況を把握次第、Webサイトなどで情報を開示する」(広報担当)という。同工場は8インチウエハー対応の前工程製造拠点で、自動車向けを含むマイコンを中心に製造を実施している。ルネサスは、同じ熊本県内に、後工程製造拠点の錦工場(球磨郡錦町)を持つが、「震源地から離れていることもあり、被害は確認されていない」としている。
三菱電機は、震度5強を観測した合志市にパワー半導体を製造する熊本工場を持つ他、同じく震度5強を観測した菊池市に液晶モジュール工場を持つ。両工場とも、地震直後に稼働を止め、従業員を避難させる処置を採り、従業員全員の安全を確認。15日は、一部の管理職のみの出勤とし、製造ラインなどの状況を確認しているという。なお、同社広報担当者によると「建屋の倒壊など目立った被害はない」としている。
ソニーは、震度5強を観測した菊池郡菊陽町にあるイメージセンサーの量産拠点である熊本テクノロジーセンターで地震直後から稼働を停止。15日朝には、従業員が一度、出勤したものの、製造ライン立ち上げ担当者ら一部社員を残して自宅待機とした。現在、製造ライン立ち上げ担当者らが工場内に入り、製造設備などの点検作業を実施し、詳細な状況調査を行っている。
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