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STT-MRAMの基礎――情報の蓄積に磁気を使う福田昭のストレージ通信(23) 次世代メモリ、STT-MRAMの基礎(1)(3/3 ページ)

次世代不揮発メモリの候補の1つに、STT-MRAM(スピン注入磁化反転型磁気メモリ)がある。データの読み書きが高速で、書き換え可能回数も多い。今回から始まるシリーズでは、STT-MRAMの基本動作やSTT-MRAが求められている理由を、「IEDM2015」の講演内容に沿って説明していこう。

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磁気モーメントを情報の蓄積に利用

 見渡す範囲を電子レベルから原子レベルにまで広げると、原子にはスピンによる磁気モーメント(「スピン磁気モーメント」)の他に、電子の周回運動による磁気モーメント(「軌道磁気モーメント」)が存在する。両者の合計が、原子の磁気モーメントとなる。


原子の磁気モーメントを構成する2つの磁気モーメント(スピン磁気モーメントと軌道磁気モーメント) (クリックで拡大) 出典:CNRS

 物質の内部で、同じ方向の磁気モーメントを有する原子が局在しているとしよう。その領域には「磁化(磁気モーメント)」が存在する。この磁化を情報の蓄積に利用したのが、磁気メモリ(MRAM:Magnetoresistive RAM)である。磁化の方向(磁気モーメントの方向)は角度で表現する。角度は0度あるいは180度である。それぞれを論理値の「高(1)」あるいは「低(0)」に対応させる。

 そして情報の輸送には、従来のエレクトロニクス技術を利用する。


磁気メモリでは、同じ向きの磁気モーメントを有する原子が局在することで、情報を蓄積する。情報の輸送には従来のエレクトロニクス技術を利用する(クリックで拡大) 出典:CNRS

次回に続く

⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧

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