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STT-MRAMの概要と応用の可能性:福田昭のストレージ通信(24) 次世代メモリ、STT-MRAMの基礎(2)(2/2 ページ)
STT-MRAMを解説するシリーズの2回目となる今回は、STT-MRAMにおける論理値(「0」か「1」か)の判別方法やメモリアレイセルの構造などを説明する。
STT-MRAMの特徴と応用の可能性
STT-MRAMは、非常に重要ないくつかの特徴を備える。不揮発性であること(待機時の消費電流をゼロにできる)、金属配線の製造工程と互換性があること、原理的には書き換え回数の制限がないこと、高密度化と微細化を進められること、読み出しと書き込みに要する時間が短いこと、などである。
これらの特徴から、コンピュータ・システムにおいてSTT-MRAMの応用の可能性としてまず考えられるのは、ラストレベルキャッシュと主記憶である。ラストレベルキャッシュと主記憶が不揮発性になることで、待機時消費電力が低下するとともに、システムの使い勝手が向上する。
STT-MRAMの高速化が進み、サブナノ秒のスイッチングが安定的に実現できると、2次キャッシュとラストレベルキャッシュ、主記憶をSTT-RAMで統合する可能性が出てくる。さらに将来は、STT-RAMとロジック回路を混在させることで、メモリアクセスのボトルネックを解消したシステムが実現されるかもしれない。
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