旭化成エレが注力するIoT、防犯アプリを参考展示:軸は「3軸地磁気センサー」(2/2 ページ)
旭化成エレクトロニクスは、「MEMS Engineer Forum 2016」で、開発中のIoT向けセンサーを展示した。同社の竹澤遼氏に、IoT向けセンサーの特長や開発の狙い、今後の展開について話を聞いた。
人感検知に特化した赤外線センサー
IoT向けセンサーに搭載されている赤外線センサーIC「AK9750」も、同社が開発を行っている(加速度センサーは他社製品である)。AK9750は2016年3月11日に発表しており、同社のホール素子製造技術で小型化を実現。PIR(Passive Infrared Ray)タイプで、視野角制限体や光学フィルターを内蔵するため、人感検知に特化している。
また、人体からの赤外線を直接信号に変換するため、移動時だけではなく静止していても検出が可能。これにより、人感センサーとして、IoT端末に最適になっているという。
AK9750の電源電圧は1.71〜3.63Vで、消費電流は連続動作時で100μA、パワーダウン時で1μAである。温度計を内蔵し、−10〜60℃の範囲で出力可能。I2C通信を通して16ビットでデジタル出力を行う。10ピン SON(4.6×3.8×1.2mm)で提供される。
ソリューションとして展開へ
今回のデモは防犯向け用途となっているが、「分かりやすいアプリケーションの1つとして提案している。防犯に限らず、さまざまな用途が考えられるだろう。今後は、センサー単体だけで展開するのではなく、強みを持つソフトウェア部分なども組み合わせたソリューションとして顧客に提供していきたい」(竹澤氏)とする。
同社の強みとするオフセット自動調整技術「DOE」。バックグラウンドで常にオフセット値を再計算し、温度や磁化による変動にも対応できるという。2015年4月には、DOEの開発に関して、同社グループフェローの山下昌哉氏が「紫綬褒章」を受賞している (クリックで拡大) 出典:旭化成エレクトロニクス
また、竹澤氏は「コンシューマー向け製品は知見がない部分もあるが、個人的にはアプリケーションも増やしていき、自分たちで直接世の中に出す製品も生み出したい」と語る。IoT向けセンサーは、2017年春〜夏頃の製品化を予定しているとした。
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