NHKは2016年5月、8K(スーパーハイビジョン)映像/音声素材を無線伝送する可搬型装置としてミリ波利用装置とマイクロ波利用装置の2種類を開発したと発表した。
開発した装置は、FPU(Field Pick-up Unit)と呼ばれる、映像/音声素材を屋外から放送局へ伝送する可搬型無線伝送装置だ。
42GHz帯のミリ波を利用する装置は、帯域幅109MHzの広帯域無線伝送技術と水平/垂直の両偏波を使った偏波MIMO技術を応用。200Mビット/秒(bps)以上の高品質伝送を実現したという。
59km伝送の基礎実験にも成功
もう1つの装置は、ハイビジョン用のFPUと同じ6〜7GHz帯のマイクロ波を利用し、8K素材を無線伝送する。帯域幅は17.5MHzの超多値OFDM伝導技術と偏波MIMO技術により、約200Mbpsの伝送を実現。伝送距離としても、59km離れた環境下で既に基礎実験に成功していて、長距離伝送に向く。
開発した2種類のFPUは2016年5月26〜29日に開催される「技研公開2016」(会場:NHK 放送技術研究所/東京都世田谷区)で展示される。NHKでは、「今後、実用化に向けた実証と性能改善に努めるとともに、8K-FPUの標準規格化を進めていく」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
5G実現にまた一歩、73GHz帯で8K映像を伝送
NTTドコモと、Nokiaの日本法人であるノキアソリューションズ&ネットワークス(以下、ノキア)は、現在開催中の「ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP) 2016」で、73.5GHz帯を使用して8K映像をリアルタイムで伝送するデモを披露した。シャープ、「世界初」8K放送受信機を開発
シャープは2016年5月25日、8K(スーパーハイビジョン)放送の受信機を開発したと発表した。8K HEVC映像のデコードを1チップで処理可能なLSI
ソシオネクストは、HEVC符号化方式に対応した8K映像のデコードを1チップで処理可能なLSI「SCH801A」を発表した。量産開始は、2016年11月を予定している。東京オリンピックは8Kで見たい! NHK技研が関連技術を続々公開
NHK技術研究所の「技研公開2014」では、スーパーハイビジョン(8K)関連の要素技術が数多く紹介された。東京オリンピックが開催される2020年の本放送開始を目指し、開発が進められている。