トーメンエレと豊通エレ統合、国内最大エレ商社誕生へ:「自動車向けでは世界1位」
トーメンエレクトロニクスと豊通エレクトロニクスは2016年7月1日、2017年4月に経営統合すると発表した。経営統合後の新会社の売り上げ規模は4600億円となり、半導体、電子部品を扱うエレクトロニクス商社としては、国内最大規模となる見込みだ。
海外34拠点、従業員数2000人
豊田通商は2016年7月1日、子会社のエレクトロニクス商社2社を2017年4月に経営統合すると発表した。
経営統合するのは、いずれも豊田通商の完全子会社で、半導体/電子部品を扱う商社であるトーメンエレクトロニクスと豊通エレクトロニクスの2社。また経営統合後の新会社に豊田通商の海外現地法人でのエレクトロニクス事業も事業移管する。
この結果、新会社は、34カ所の海外拠点、約2000人の従業員を有する売上高約4600億円のエレクトロニクス商社となる。半導体/電子部品を扱うエレクトロニクス商社としては、マクニカ・富士エレ ホールディングスの4053億円(2016年3月期実績)を上回り、国内最大規模となる見込みだ。
自動車向け3000億円規模に
トーメンエレクトロニクスは、1972年に帝人アドバンストプロダクツとして設立後、1983年に総合商社トーメンの子会社となり、2006年に親会社のトーメンが豊田通商に吸収合併されたことに伴い豊田通商グループ入り。一時、株式公開していたが、2014年に豊田通商が株式公開買い付けを実施し豊田通商の完全子会社となっていた。売り上げ規模は、約2200億円とし、情報通信分野、家電/AV機器分野を得意とし、豊田通商グループ入り後は、車載分野での事業も拡大させていた。
一方の豊通エレクトロニクスは、豊田通商の完全子会社として2003年に設立。車載向けを主力に事業規模を拡大し、売り上げ規模は約2400億円(豊田通商の海外エレクトロニクス事業含む)に達していた。
豊田通商では、新会社の自動車向けビジネスの売り上げ規模は、3000億円を超え、「車載分野で世界最大のエレクトロニクス商社」(同社)とする。
エレクトロニクス事業子会社再編の目的として、豊田通商は「世界のエレクトロニクス商社業界では海外商社が売上高上位を占めているが、新会社は世界レベルのエレクトロニクス商社として存在感を発揮できる規模になると同時に、各社の強みを結集することで“品質・技術と機能による差別化”を進め、豊田通商グループの世界90カ国以上に展開する海外ネットワークを活用したグローバルな事業展開を加速する」としている。
新会社の社名や経営体制については、未定で、2016年12月末をメドに決定する方針。
再編機運高まる――国内エレクトロニクス商社業界
国内エレクトロニクス商社業界は、売上高1000億〜3000億円規模の商社が20社近く存在し、市場を分け合う形となっている。一方で、海外市場では売上高1兆円を超す「メガディストリビューター」と呼ばれる超大手商社による寡占化が進んでいる。国内商社にとってアジアを中心とした海外でのビジネス拡大は事業成長に欠かせず、国内商社業界では海外の超大手商社への対抗を目指したM&Aの動きが増えつつある状況だ。さらに、近年は、エレクトロニクス商社の仕入れ先である半導体メーカーの再編が活発化していることも、国内エレクトロニクス商社の再編を加速させる要因になっている。
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