連載
SSDをクルマに載せる:福田昭のストレージ通信(39) Micronが考えるメモリシステムの将来(3)(2/2 ページ)
今回は、SSDをクルマに搭載する時の課題を取り上げたい。クルマ用SSDにおいて、信頼性を向上したり、温度変化によるしきい値電圧の変動に対応したりするには、どうすればよいのだろうか。
温度変化がNANDフラッシュのしきい電圧をずらす
SSDの使用温度範囲をクルマ向けに拡張するときは、NANDフラッシュメモリのしきい電圧(Vt)が温度によって変動することに留意しなければならない。温度が上昇すると、データ消去時のしきい電圧が室温に比べて下がる。温度が下降すると、データ書き込み時のしきい電圧が室温に比べて上がる。このほか高温では、蓄積した電荷の離脱が起こる。
NANDフラッシュメモリのデータ書き込み(プログラム)動作では、書き込み電圧をステップ状に少しずつ上げていき、しきい電圧の変化をモニターすることで正確にしきい電圧を制御する。温度が変化するとステップごとのしきい電圧の変化量が増減し、プログラム時間を変動させる。
SSDのさまざまな外形寸法と熱設計
ところで、SSDにはいくつもの規格化された外形寸法(フォームファクタ)が存在する。SSDが実用化され始めたころは、2.5インチHDDのフォームファクタを採用することが多かった。HDDの置き換え、すなわち、HDDと同じフォームファクタであることを重視したからだ。
その後、SSDの高い性能を生かした独自のフォームファクタが登場した。PCIe拡張ボード、SATAとSAS、PCIeを包含した汎用規格「U.2」、独自の小型カード規格「M.2」などである。
(次回に続く)
⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スピン注入型MRAMの微細化(スケーリング)
STT-MRAMの記憶容量を拡大する最も基本的な方法が、微細化だ。現時点でSTT-MRAMは、研究レベルでかなりのレベルまで微細化できることが分かっている。実際の研究結果を交えて紹介しよう。 - ルネサスが語る、クルマを安全に制御する車載マイコンの“技術の四隅”
ルネサス エレクトロニクスが、自動運転を視野に入れた運転支援システム向けに開発した車載マイコン「RH850/P1x-Cシリーズ」は、同社が「車載マイコンの技術の四隅」と呼ぶ、クルマを安全に制御する4つの技術課題をクリアしている。 - SiC、量産車に初搭載――ホンダの新型FCVが採用
SiCパワーデバイスが初めて、量産車に採用されたことが分かった。 - “メモリ大国”を目指す中国(前編)
中国がメモリ技術の開発に注力している。中国のファウンドリーであるXMCは、「3D NAND型フラッシュメモリでSamsung Electronicsに追い付く」と、非常に積極的な姿勢を見せている。