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アナログ市場シェア18%で首位も、まだ伸びしろTI シリコンバレー・アナログ事業部 David Heacock氏

日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2016年8月3日、米国本社のTexas Instruments(TI) シリコンバレー・アナログ(SVA)事業部でシニアバイスプレジデントを務めるDavid Heacock氏の来日を機に記者説明会を開催し、TIのアナログ事業の戦略や注目製品を紹介した。

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売上高の8割はアナログ分野から


TI SVAのシニアバイスプレジデントであるDavid Heacock氏

 2015年におけるTIの売上高は約130億米ドル。そのうち8割に相当する83億米ドルがアナログ分野での売り上げが占める。研究開発費に至っては、9割がアナログ技術に投資されている。2015年度のTIの研究開発費は約13億米ドルなので、11億7000万米ドルがアナログ技術の開発に使われたことになる。

 米国の市場調査会社IC Insightsによれば、2015年のアナログ市場においてTIはシェア18%を獲得し、首位の座についている。Heacock氏は「シェアが約20%ということは、5分の1しか取れていないということ。まだ伸びしろは大いにある」と述べる。そのためには「今後の成長率が高く、しかも息の長い市場を見極めて、そこに向けた製品開発を続けることが必要」だとし、これまで注力してきた車載および産業分野に加え、今後の注力分野として“コネクテッド・ワールド”、いわゆるIoT(モノのインターネット)を挙げた。

 Heacock氏によれば、とりわけコネクテッド分野でも、TIが既に広範な製品群をそろえている電力変換とセンシングを強化する。同氏は、「コネクテッド・ワールドにおける電力変換では、統合(モジュール化)による低コスト化と小型化、高効率化などが求められている。センシングにおいては高精度化と、さらなる低消費電力化だ」と述べ、それぞれの要件に応え得る、TIの特徴的な製品を幾つか紹介した。

左=TIの売上高の8割はアナログ分野での売り上げだ/右=「既に確固たる地位にある」(Heacock氏)とするセンシングと電力変換を強化する(クリックで拡大)

 電力変換の小型化、高効率化においてTIは、ここ1年、GaN製品群の拡大に注力している。2015年3月には、80VのハーフブリッジGaN FETモジュール「LMG5200」を発表した。2016年4月には耐圧600VのGaN FETとドライバーICを統合した「LMG3410」のサンプル出荷を開始すると発表している。Heacock氏はGaN製品の用途について、「耐圧100V以下では、レーダーへの採用に、同600〜700Vでは1kW〜3kWの電源への採用に高い関心が寄せられている」と話す。

 センシングでは、2016年5月に発表した近接センサー「LDC0851」が紹介された。基板上に構成されたパターンコイルで導電性物質を検出する。温度変化や部品の経時変化を自動的に補正するという。

左=GaN製品群を拡張しているTI/右=近接センサー「LDC0851」の概要(クリックで拡大)

ADI+リニアでも「影響なし」

 2016年7月、Analog Devices(ADI)がLinear Technology(以下、Linear)を買収すると発表した。これについてHeacock氏は、「TIへの影響はない」と言い切る。「アナログ半導体市場におけるTIのシェアは18%。ADIがLinearを買収しても、シェア18%にはまったく届かない」(同氏)


2015年のアナログICサプライヤーのランキング 出典:IC Insights

 IC Insightsによるデータでは、TIのすぐ後を追うのはInfineon Technologiesだ。それでもシェア6%と、TIの18%には程遠い。ADIとLinearのシェアは、2015年の数字を単純に合計すれば9%。TIの半分だ。同氏は「Linearが強いパワー製品、ADIが強いデータコンバーター製品、そのいずれにおいてもTIのシェアが勝っている」と述べ、ADI+Linearの体制になろうと、まったく意に介さないとの見解を述べた。

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