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MediaTek、モデムチップの供給が追い付かず予測よりも高い需要で

スマートフォン用ベースバンドチップ(モデムチップ)においてQualcommの最大の競合先であるMediaTekは、ファウンドリーに委託するチップ製造量を低く見積もっていたことから、3Gおよび4Gスマートフォン向けチップの需要を満たせなくなっていることを明らかにした。

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供給量の回復は2016年第4四半期か

 MediaTekの最大の製造委託先はTSMCだ。スマートフォン用ベースバンドチップの需要は、MediaTekが2016年当初に予測していたよりも高くなっているという。

 MediaTekのCFO(最高財務責任者)であるDavid Ku氏は、同社の2016年第2四半期の決算を発表するカンファレンスコールの中で、「当社は2016年第3四半期と第4四半期に供給制限に直面する可能性が高い。全ての需要を満たせるようになるのは、恐らく第4四半期に入ってからになるだろう」と述べた。

 MediaTekは、同社の2016年第3四半期のスマートフォンおよびタブレット向けチップの出荷数について、1億4500万〜1億5500万個になると予測している。同社は2016年第1四半期の出荷数を1億3500万〜1億4500万個、第2四半期の出荷数を1億1100万個と予測していたので、第3四半期は、直前の2四半期よりも出荷数が伸びると見込んでいることになる。MediaTekは2015年にQualcommから奪う形でスマートフォン用チップの市場シェアを伸ばした。

 スマートフォン市場は2016年に入ってから初めて鈍化したが、それ以来、同市場の動向は予想しにくくなっている。市場調査会社のIDCが2016年7月28日(米国時間)に発表したレポートによると、世界スマートフォン出荷台数は、2016年第2四半期に辛うじて0.3%増加したようだ。最も大きく成長したのは中国の三大スマートフォンメーカーであるHuawei、Oppo、Vivoだったという。

 台湾に拠点を置くMediaTekは、チップのほとんどを中国のメーカーに販売しているので、中国本土の携帯電話メーカーの成長から恩恵を受けているとみられる。

 Ku氏は「VivoとOppoが市場シェアを大きく伸ばす中、当社の市場シェアも拡大し続けている」と述べた。

 MediaTekは、2016年の売上高は前年比で25%以上伸びると見込んでいるが、そのうち5%は最近買収した他社からの分だという。

ハイエンドへの移行

 Ku氏によると、MediaTekは2016年、研究開発リソースのほとんどを、4Gスマートフォン用チップである「Helio」シリーズの拡張に投入するとしている。Helioシリーズの新製品「P20」は2016年第4四半期に、「X30」は2017年上半期にそれぞれ出荷される予定だ。Ku氏は、2016年末には、HelioシリーズはMediaTekのスマートフォン関連製品の出荷数の約20%を占めるようになると述べた。

 現時点で、MediaTekの最新のベースバンドチップはLTE Cat 6(カテゴリー6)に対応している。Ku氏によれば、X30はLTE Cat 7(カテゴリー7)にも対応可能だという。Qualcommに後れを取っているMediaTekは、Qualcommとの技術の差が広がっているため、2016年第4四半期は、MediaTekはシェアをやや落とすかもしれないとしている。

 2016年末までには、MediaTekは、LTE Cat 10(カテゴリー10)対応のベースバンドチップの提供を始めるとしている。

 さらに、2017年にはMediaTek初となる10nmプロセス適用の製品の製造をTSMCで開始する予定だ。X30にはTSMCの16nmプロセスを適用する。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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