生き残りへ辛うじて挑戦権を得たルネサス:再編進む半導体業界の中で(3/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは2016年9月13日、Intersilを約3274億円で買収すると発表した。製品面、事業面で補完関係にあるIntersilの買収で、ルネサスは半導体業界で続く再編の中で、生き残りを図ることになった。ただ、懸念材料もある。
早急に相乗効果は発揮できるか?
相互に製品を販売するクロスセル面では、早い段階から一定の効果を上げることは可能だろう。だが、ルネサスのマイコンやSoCと、Intersilのアナログ製品を組み合わせたソリューション展開による本格的な相乗効果発揮には時間がかかる見込みだ。一般に、アナログ半導体の開発期間は長い。両社の製品を合わせ込んだソリューション展開には2〜3年はかかる。そこから売り上げ計上まで考慮すると効果の発揮には4〜5年かかることになる。そうした時間軸で、M&Aでも先行している競合他社に、太刀打ちできるかどうかは疑問だ。
さらにルネサス自体が、海外事業を買収し成功した実績に乏しいことも懸念材料だ。ルネサスの海外企業買収経験は、前身の1つルネサス テクノロジ時代に約180億円でNokiaのモデム事業を買収した程度だ。しかも買収事業は業績低迷が続き、2013年に売却している。現CEOの呉氏は過去、カルソニックカンセイ、日本電産などで企業買収を経験しており、今回のIntersil買収の成否は、必然的に呉氏の手腕によるところが大きくなる。
再編が進む半導体業界で生き残る上で、現状のルネサスに与えられた選択肢はあまり多くなかった。その中で、Intersilの買収は、最良といえる選択だっただろう。しかし、繰り返しになるが、現時点では、生き残るための挑戦権を辛うじて得ただけにすぎない。早急な売り上げ拡大、シェア拡大が求められている状況に変わりはなく、まだまだクリアしなけらばならない課題は多い。
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