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GF、12nm FD-SOIプロセス「12FDX」を発表10nm FinFETプロセスを超える性能?

GLOBALFOUNDRIES(GF)が、22nmプロセスを用いたFD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)のプラットフォーム「22FDX」の後継となる次世代FD-SOIプロセス「12FDX」を発表した。GFによると、「10nm FinFETプロセスを超える性能を提供することが可能」とし、2019年の製造開始を計画する。

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2019年前半にテープアウトへ

 GLOBALFOUNDRIES(グローバルファウンドリーズ)が、22nmプロセスを用いたFD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)のプラットフォーム「22FDX」の後継となる次世代FD-SOIプロセス「12FDX」を発表した。間もなく製造を開始する予定だという。また同社は、FD-SOI向けの「FDXelerator」エコシステム開発プログラムについても発表し、この中にEDA、IPベンダーであるCadence Design Systems(ケイデンス デザイン システムズ)とSynopsys(シノプシス)が参加していることを明らかにした。

 FD-SOIは、Intel(インテル)やTSMC(台湾積体電路製造)などが支持するFinFETチップ製造技術の、代替技術となる。SOIの研究は、もともとIBMが手掛けていたが、その後STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)が主導していくようになる。現在は、Samsung Electronics(サムスン電子)とGLOBALFOUNDRIESが、FD-SOIの製造実現に向け、それぞれ28nmプロセスと22nmプロセスの開発に取り組んでいる。両社とも、「FD-SOIは、最初の出発点でウエハー製造コストが高くなるが、低電圧や低消費電力、高性能などのさまざまなメリットをもたらす」と主張する。

 12FDXプロセスは名目上、12nmを最小形状寸法とし、モバイルコンピューティングや第5世代移動通信(5G)システム、人工知能、自動運転車に至るまで、幅広いインテリジェンスへの適用を目指す。最近では、STMicroelectronicsが、長年にわたり協業関係にあったMobileye(モービルアイ)が10nm FinFETの採用を決めたために、Mobileyeのデザインウィンを逃したことで注目を集めている。

トリプルパターニング不要


ドイツ・ドレスデンの製造拠点 出典:GLOBALFOUNDRIES

 GLOBALFOUNDRIESは現在、ドイツのドレスデンに保有する半導体前工程工場において、FD-SOIの開発を進めている。同工場でゼネラルマネジャーを務めるRutger Wijburg氏は、EE Times Europeのインタビューに応じ、「12FDXプロセスは、性能向上を実現しながら、トリプルないしクアッドパターニングやEUV(極端紫外線)リソグラフィを不要にすることができる。22FDXは、バックバイアスを利用することにより、16/14nm FinFETプロセスと同程度またはそれ以上の性能を実現する。12FDXでバックバイアスを用いれば、10nm FinFETプロセスを超える性能を提供することが可能だ」と述べている。

 つまり12FDXは、10nm FinFETよりも少ない電力で同程度の性能を提供し、16nm FinFETよりもコストを削減できるということだ。

 GLOBALFOUNDRIESのCEO(最高経営責任者)を務めるSanjay Jha氏は、発表資料の中で、「FinFETトランジスタの卓越した性能を必要とする用途も一部にあるが、ほとんどのコネクテッドデバイスでは、高度なインテグレーションと、柔軟性に優れた性能および消費電力を、FinFETでは不可能な低コストで実現することが求められている。当社の22FDX/12FDX技術は、次世代のコネクテッドインテリジェントシステムの実現に向け、代替経路を提供することにより、業界ロードマップのギャップを埋めることができる」と述べる。

 2019年前半には、顧客企業向けに12FDX回路のテープアウトを実現できる見込みだという。

NXPが次世代i.MXに適用へ

 NXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)でi.MXアプリケーションプロセッサ製品ライン担当バイスプレジデントを務めるRon Martino氏は、「当社の次世代i.MXマルチメディアアプリケーションプロセッサに、FD-SOIのメリットを適用することにより、自動車、産業機器、民生機器用途を対象として、電力効率とパフォーマンスオンデマンド拡大の両分野でリーダー的地位を獲得したいと考えている。GLOBALFOUNDRIESの12FDX技術は、FD-SOIの次世代プロセスを提供することで、スマートかつセキュアな未来のコネクテッドシステムに向けて、プレーナ(平面)型デバイスの性能を一段と高め、リスクの低減や幅広いダイナミックレンジ、優れたコストパフォーマンスなどを実現することにより、業界に大きく貢献するだろう」と述べている。

 今回のGLOBALFOUNDRIESの発表は、中国でも歓迎されているようだ。

 中国科学院上海マイクロシステム・情報技術研究所(Chinese Academy of Sciences, Shanghai Institute of Microsystem and Information Technology)の所長を務め、学士院会員である Xi Wang氏は、「GLOBALFOUNDRIESが12FDXを提供するとの発表を受け、中国国内の顧客企業もその恩恵を受けられるとの期待から、とても興奮している。FD-SOIロードマップが拡大するに伴い、モバイル市場やIoT市場、自動車市場などの顧客企業は、FDX技術の電力効率・性能面のメリットをうまく利用することで、競争力のある製品を生み出すことができるだろう」と述べている。

従来プロセスからの移行を実現するFDXceleratorを提供

 GLOBALFOUNDRIESは今回、12FDXの他に、FDXceleratorプログラムについても発表している。FDXceleratorは、40nm/28nmのプレーナ型CMOSプロセスなどの従来プロセスから、22FDXに容易に移行できるようにするためのプログラムだ。

 FDXceleratorの初期のパートナー企業は、業界最先端の設計フローに特定のモジュールを追加して、それを補完するためのEDAツールを提供することにより、FD-SOIのボディーバイアスで差別化された機能を簡単に利用できるようにする取り組みを進めている。

 このような機能には、ベーシックやファウンデーション、インタフェース、コンプレックスIPなども含まれる。またパートナー企業は、レファレンスソリューションや設計コンサルティング、設計サービス、製品パッケージング、テストソリューションなども提供するという。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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