トンネル工事の監視などIoTの国内事例も、日本NI:CEATEC 2016 開催直前情報
日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は、2016年10月4〜7日に開催される「CEATEC JAPAN 2016」で、「IoT(モノのインターネット)の実現に必須のセンサー計測とデータ管理ソリューション」を展示テーマとし、IoT事例や具体的なソリューションを紹介する。国内導入事例として、錢高組の「トンネル工事でのモニタリングシステム(Tunnel Eye)」を展示する。
「CPS/IoTの展示会」として実施
2016年10月4〜7日の4日間、「CEATEC JAPAN 2016(シーテック ジャパン/以下、CEATEC 2016)」が、千葉・幕張メッセで開催される。2015年まで“最先端ITとエレクトロニクスの総合展”として開催されてきたCEATEC。今回からは「CPS(サイバーフィジカルシステム)/IoT(モノのインターネット)の展示会」として実施される。
CEATEC 2016の開催に先立ち、アイティメディアが運営するEE Times Japan、EDN Japan、MONOist、スマートジャパン、TechFactoryの5メディアではCEATEC 2016の特設ページを設け、各編集部が厳選した注目企業の見どころ情報や新製品リリース、速報、イベントレポートを多数紹介していく→5メディア合同「CEATEC JAPAN 2016特集」。
本稿では、日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)の出展内容について紹介する。
IoTでは国内の導入事例も
「IoTの実現に必須のセンサー計測とデータ管理ソリューション」を展示テーマとし、IoT事例や具体的なソリューションを紹介する。日本NIは「昨今、広がりを見せるIoTやインダストリー4.0というトレンドにおいて、センサーを用いて収集されたデータの有効活用は必須となる。IoTの実現には、今まで別々の分野で培われていた計測技術を統合する必要性が出てきており、業界を超えた協力体制が必要になってきている」と説明する。
具体的には、国内導入事例として、錢高組の「トンネル工事でのモニタリングシステム(Tunnel Eye)」を展示する。「この事例の素晴らしい点は、IoTで何ができるかという考えからスタートしているわけではなく、ビジネス上、実現したいことを先に考えた上で、IoT技術をうまく導入している点だ」(日本NI)
その他、「音の見える化」リアルタイム音源可視化装置デモ、オンライン状態監視用オープンプラットフォームなどを紹介する。
さらに、10月7日(金)にはIoTに関する3つのセミナーを開催する予定だ。
- 「IoTの実現に向けた標準Ethernet規格の拡張版「TSN」とその動向」(仮):展示会場内ホール5 Room1 12:30 〜 13:30
- 「IoT 事例紹介:トンネル⼯事の安全管理と省エネを実現したIoT システム」:Hall4 オープンステージ 12:40 〜 12:55
- 「基礎から学ぶ! IoT時代に必須のセンサ計測システムに求められていること」:国際会議場1階 104会議室 16:00〜17:00
日本NIは、「当社はIoTに関して国内外の事例を多く保有している。しかも当社が活動する分野は、エレクトロニクス業界、自動車業界、アカデミック業界など幅が広いことが特長だ。当社がCEATECに期待する事は、保有する事例を国内に展開することにより、IoT化のヒントを国内の業界に展開し、日本の産業界に貢献する事だ」と述べた。
産業向けビッグデータ解析に注目
同社は、エレクトロニクス技術業界の動向として、機械学習など産業向けのビッグデータ解析に注目している。「データサイエンティストという職業が登場しているが、消費者向けのデータサイエンティストと、産業向けのデータサイエンティストでは、求められている能力が異なると考えている。例えば、POSデータのようなビッグデータの解析と、機械の故障予測などの保全に利用されるビッグデータとでは、データそのものの性質が異なり、分析手法も異なる。さらには、その分析に必要なデータの取得には、高度な計測技術が要求されるため、計測器メーカーである当社の得意分野が生かせる。実は、データサイエンティストがデータ分析する以前に、計測ミスをしているケースが数多く見られるからだ。事実、当社はIT(Information Technology)とOT(Operational Technology)の統合のために、HPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)との協業をスタートし、ビッグデータの解析への取り組みを始めている」(日本NI)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「日本の半導体業界の将来は明るい」 SEMI語る
SEMIジャパンは、SEMIの活動に関する説明会を都内で開催した。SEMIジャパン代表の中村修氏は、「IoTによる200mmファブの需要拡大で、日本の半導体業界の将来は明るい」と語る。 - “IoTの勝者 ARM”買収でソフトバンクが狙うもの
ソフトバンクグループが2016年7月18日、半導体設計用IPベンダー大手のARMを買収した。ソフトバンクとARMとは直接的な関係性はなく、買収による相乗効果は見えにくい。なぜ、ソフトバンクはARMを買収するのかを考えたい。 - IoTデバイスを魔の手から救うセキュリティ技術
ルネサス エレクトロニクスは、IoT(モノのインターネット)のエンドデバイス向けに、汎用マイコンを使用したセキュリティソリューションの提供を順次開始すると発表した。第1弾は、強固なセキュリティ機能を持つ32ビットマイコン「RX231」。評価ボードと各種ソフトウェアを活用することで、セキュリティを強化した組み込み機器の開発を容易にできるという。 - オムロン、画像認識の“オープン化”で広がる可能性
オムロンは2016年8月、組み込み機器に取り付けるだけで人の状態を認識する画像センサー「HVC-P2」を発表した。HVC-P2は、独自の画像センシング技術「OKAO Vision」の10種類のアルゴリズムと、カメラモジュールを一体化した「HVC(Human Vision Components)シリーズ」の1つ。HVCシリーズに共通するのは、“オープンイノベーション”を掲げていることにある。