耳の形状で個人認証、ウェアラブルの本命なるか:NECが「CEATEC」で展示
NECは、2016年10月4〜7日に幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2016」で、耳穴の形状を音で識別する生体認証技術を展示する。99%以上の精度で1秒以内に認識できるという。
99%の認証制度を1秒以内に
NECは2016年10月3日、「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4〜7日/幕張メッセ)のメディア向け先行公開で、耳穴の形状を音で識別する生体認証技術を展示した。
同技術で使用するのは、市販品のイヤフォンにスピーカーとマイク、モーションセンサーを追加したもの。特徴量の抽出には、同社のバイオメトリクス認証技術がベースとなっている。イヤフォンの音を流したときの耳穴からの反響音をマイクから収集することで、耳の形状で決まる音響特性を1秒以内で認識できるのだ。
同社のリリースによると、外耳道を通って鼓膜で反射して返ってくる信号成分と、鼓膜を通過した後、中耳と内耳で反射し、返ってくる信号成分が重要という。この2種類の信号成分に対応する特徴量を抽出。同特徴量により、少ない計算量で生体認証が可能になり、外的環境の影響も排除できるため、99%以上の認証精度を実現したとしている。
また、多重音と耳穴特徴量の組み合わせのため、秘匿性が高いのも特長である。万が一、何らかの形で生体キーが録音されてしまったとしても、最初にイヤフォンから流す発信音を変えることができる。つまり、生体キーの作成が無限大に可能だ。
用途としては、オンラインテストの本人認証や警備でのなりすまし防止、長距離運転手のモニタリングなどを検討しているとする。同社のNTTドコモ営業事業部のマーケティング&イノベーショングループで主任を務める荒井淳氏は、「スマートフォンでの生体認証は、どうしても片手がふさがってしまう。耳に装着するだけなら、ユーザーに意識させずに生体認証ができる。どのようなシチュエーションでもリアルタイムな生体認証を取得できる耳元は、ウェアラブルの本命と言えるのではないだろうか」と語る。
しかし、同技術の普及を後押しするキラーアプリケーションが生まれていないこと、生体認証を行うデバイス(イヤフォン)をどう普及させるかといった課題が残る。そのため、CEATEC JAPAN 2016では、ビジネスパートナーを募集していくようだ。
荒井氏は、「これらの課題を解決できれば、スマートフォンの個人認証には、指紋やパスワードだけでなく、耳の形状も加わる未来がやってくるかもしれない」とした。
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