光を自在に操るMEMSレーザー照明が登場:文字や絵も表現できる
スタンレー電気は、モーターなどを使わず、自在に照射領域を変更できる新しい照明「MEMSレーザー照明」を2016年10月4日から開催されている展示会「CEATEC JAPAN 2016」(シーテック ジャパン)で公開した。
スタンレー「目標は車のアダプティブ・ヘッドライトでの採用」
スタンレー電気は、「CEATEC JAPAN 2016」(シーテック ジャパン、会期:2016年10月4〜7日、会場:千葉市幕張メッセ)で、MEMSミラーデバイスを使ったレーザー照明(MEMSレーザー照明)を公開した。モーターなどのアクチュエーターを使用せず小型サイズで、照らす領域を自在に変えられるアクティブな照明を実現できる。舞台演出などエンターテインメント用照明の他、「将来的には、自動車のアダプティブ・ヘッドライトにも応用可能な照明技術」(同社)とする。
MEMSレーザー照明は、青色レーザーの光を、MEMSスキャニングミラーデバイスで反射させ、蛍光体(白色変換スクリーン)、レンズを通して、光を出力する。その際、MEMSスキャニングデバイスの微小鏡の角度を制御して、照らしたい任意の領域にレーザー光を走査(スキャン)させる。その際、レーザー光のオンオフも制御でき、円形に照らしつつ、円の中に陰で文字や絵を表示するといったことも可能だ。
CEATECで公開したデモ機は、輝度を確保するため、4つMEMSレーザー照明システムを同期させ、同一の領域を照らした。「大きな領域を4つに分割し、1台が4分の1の領域を照らすといった同期動作も可能」という。またデモ機はミラーの振動角を最大20度にしたが、原理的には最大180度まで対応可能だという。
光のオンオフで表現できる解像度は最大400×160。1秒当たり240回、照射領域を走査できる。ディスプレイのスペックで言えば、解像度400×160画素で、240フレーム/秒ということになる。400×160と長方形の表示エリア向けの解像度とした理由としてスタンレー電気では、「最終的に自動車のヘッドライトでの採用を目標にしているため、こうしたスペックとなっている」と説明する。
デモでは、TOF(Time Of Flight)センサーと連動させ人がいる場所に丸くスポットライトを照らす様子も紹介。「普段は、広い領域を照らし、不審者が侵入した場合には、不審者だけを明るく照らすといったことも可能だ」とし、セキュリティ分野での応用も示唆する。
商品化の時期は未定。「照らす領域を急速に変えるなどした際に、輝度の制御が遅れ若干ちらつきなどが生じるといった課題がある。基本的な技術は構築できており、制御の最適化などを進め、まずは舞台照明などのエンターテインメント分野などに向けて提案、販売していきたい」としている。
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