GE POL用いたパワーモジュール、効率10%向上へ:太陽誘電がCEATECでプロトタイプを展示
太陽誘電は、2016年10月4〜7日に幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2016」で、研究開発中のGE POL(Power OverLay)パッケージ技術を用いたパワーモジュールの展示を行った。
ワイヤボンディングが不要
太陽誘電は、2016年10月4〜7日に幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2016」で、研究開発中のGE POL(Power OverLay)技術を用いたパワーモジュールの展示を行った。太陽誘電とGEベンチャーズは、2014年末からGE POLを製造するための知的財産を太陽誘電にライセンスする形で連携。2016年7月には、商用化に向けて共同開発体制を構築すると発表している(関連記事:太陽誘電とGEが電子部品内蔵技術で協業)。
GE POLとは、メッキされた銅(Cu)の配線を使用して相互接続をするパッケージ技術である。従来のようにワイヤボンディングを行う必要がないため、抵抗値やインダクタンスを低くできるといった特長を持つ。寄生容量が減るなど電気的性能は大幅に向上し、電子回路の機能的密度を3倍にでき、効率も10%以上向上できるという。
また、説明員によると、ワイヤボンディングでは片側しかヒートシンクを設置できなかったが、GE POL技術では両側に設置できるため、放熱性も高くなる。
太陽誘電は現在、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いたパワーモジュールへのGE POL技術適用に向けて、研究開発を進めている。想定するアプリケーションとしては、産業機器やロボット、自動車、ウェアラブル端末を挙げた。
説明員は、「当社が培ってきたノウハウを生かして、産業機器や自動車に求められる高信頼性の受動部品を開発し、モジュールとしての付加価値を提供したい」と語る。今回はプロトタイプとしての展示だったが、2020年頃までに製品化を目指すとした。
なお、GEベンチャーズのライセンシング部門でプレジデントを務めるPat Patnode氏は、2016年7月に発表したリリース上で、「太陽誘電とパートナーになることで、ワイヤボンドのない部品内蔵パッケージングソリューションを、次世代のエレクトロニクス製品にもたらすことができることにワクワクしている」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- CEATECの「IoTタウン」、初出展ばかりで面白い
CPS/IoTの展示会として開催されている「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4〜7日/千葉市幕張メッセ)。生まれ変わったCEATECで、主催者が特別企画として展示しているのが「IoTタウン」である。本記事では、初出展となる企業を中心に、IoTタウンの様子を画像で紹介する。 - におい成分を複数のガスセンサー素子で測定
太陽誘電は、「CEATEC JAPAN 2016」で、さまざまなガス成分を選択的に検出し、においを識別することができる「においセンサー」などの最新技術を展示した。 - すべてがつながるIoTの世界、VRで飛行を体験
タイコ エレクトロニクス ジャパン(TEジャパン)は、「CEATEC JAPAN 2016」)において、全てをつなげる同社のコネクティビティ&センサーソリューションを紹介。その一例として「TE VRハンググライダー」を特設ステージでデモ展示した。 - 光を自在に操るMEMSレーザー照明が登場
スタンレー電気は、モーターなどを使わず、自在に照射領域を変更できる新しい照明「MEMSレーザー照明」を2016年10月4日から開催されている展示会「CEATEC JAPAN 2016」(シーテック ジャパン)で公開した。 - AI×人口統計でタクシー需要をリアルタイムに予測
NTTドコモは「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4〜7日、千葉・幕張メッセ)で、AIを活用してタクシー利用の需要をリアルタイムで予測する技術を展示した。人口統計や気象データなどのデータを、多変量自己回帰と深層学習を使って解析して情報を抽出し、「30分後、都内のどのエリアにおいてタクシーの需要が増すか」を予測する。 - 8K TVソリューション、チップセットで提案
ソシオネクストは、「CEATEC JAPAN 2016」において、最新のLSIチップセットを用いた高精細8Kの映像向けソリューションなどを紹介した。